この事実から当時は、漢字の読めない労働者が多数いたことが推測される。

 健康保険証の配布は1926(大正15)年11月から始まり、年明けに健康保険がスタートすると、病院や診療所では健康保険証に記載されている情報をもとに医療費の請求業務が行われるようになっていった。以来、健康保険証は患者の資格情報を確認するための重要なアイテムとして、制度に伴走してきた。

 このA5サイズの健康保険証は、その後の被扶養者制度の導入などによって小幅な修正が加えつつ、戦後も踏襲されてきた。大きなモデルチェンジがあったのは2000年頃で、それまで世帯単位で発行されていたものが個人ごとになり、大きさも名刺サイズのカードタイプに変更された。

 このように、健康保険証のサイズや形状は変わっても、資格確認の方法は病院や診療所で事務職員などが目視で情報を確認して、手作業でコンピューターに打ち込んで請求業務を行うということが長らく続けられてきた。

 だが、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めるためにマイナ保険証が導入されることになり、資格情報の確認方法は大きく変わることになった。

暫定措置は7月末で完全終了
今後はマイナ保険証か資格確認書を

 マイナ保険証はマイナンバーカードに健康保険証の利用登録をしたもので、21年10月に本格導入が開始された。23年6月に施行された改正マイナンバー法で、公的医療保険の資格確認はマイナ保険証を中心にすることになり、従来の健康保険証は廃止が決定。24年12月2日以降、従来の健康保険証の新規発行は停止され、既存のものも25年12月1日で効力を失うことになった。

 だが、全ての国民に個人番号(マイナンバー)が付与されているものの、カードの保有義務は任意となっている。そのため、マイナンバーカードを保有していなかったり、持っていても健康保険証としての登録をしていなかったりする人には、健康保険証に代わる「資格確認書」が交付されることになった。

 この法改正によって、公的医療保険の資格確認方法は、マイナ保険証か、資格確認書のどちらかで行うことが原則となった。だが、制度の移行期間は、病院や診療所にいくのにマイナンバーカードや資格確認書を持って行くのを忘れて、うっかり期限切れの被保険者証を持っていってしまう人がいることも予想される。