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高市・自民維新連立政権は、現役世代の社会保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す。特集『総予測2026』の本稿では、社会保障改革の行方を展望する。医療・介護は高い経済成長の基においても賦課ベース拡大だけでは限界があり、DXや薬剤費改革、自己負担見直しなど給付抑制が引き下げには不可欠だ。年金は賦課ベース拡大といった改革を進めつつ、財政改善分を給付向上ではなく保険料引き下げに充てる選択肢も考えられる。(大和総研金融調査部主任研究員 是枝俊悟)
直近の10年間の医療介護合計の
保険料上昇率は0.3%ポイントに留まる
2025年10月に発足した高市・自民維新連立政権は現役世代の社会保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指している。料率抑制は可能なのか。65歳以上の人口がおおむねピークに達する見込みの40年度までを見据え、必要な社会保障改革の方向性と社会保険料率の見通しを示す。
社会保険料率の構造は医療・介護と年金で異なる。まず医療・介護についてだ。下図は、医療・介護合計の保険料率の推移と今後の見通しを示したものである。
1995年度から15年度にかけては医療・介護合計の保険料率は6.3%から11.0%へと倍近くに上昇したものの、その後25年度にかけての10年間では0.3%ポイントの上昇にとどまっている。
医療と介護の保険料率は、原則として、単年度で給付費を賄える水準に設定される。保険料の大部分は、雇われて働く「被用者」が加入する医療保険と厚生年金(総称して被用者保険と呼ぶ)の加入者の報酬総額(賦課ベース)に賦課される。このため、社会保険料率は、おおむね「給付費/賦課ベース」という式で表せる。
次ページでは、是枝氏が独自の試算に基づき、医療・介護、年金の社会保険料引き下げに向けて必要となる施策について検証する。








