医療費がジワジワ増える…6月の診療報酬改定で「初診60円増」でも「大したことない」で済まない理由医療費がジワジワ増える…6月の診療報酬改定「大したことない」で済まない理由とは? Photo:PIXTA

6月に診療報酬が改定されたことで、医療費の自己負担額は具体的にどれくらい増えたのか?8月からは高額療養費の限度額の引き上げも決まっている。今年、来年と医療費の負担はジワジワと家計を侵食していきそうだ。連載「医療費の裏ワザと落とし穴」308回で、詳細を解説する。(フリーライター 早川幸子)

2026年度の診療報酬改定
医療費の自己負担はどう変わった?

 6月1日から診療報酬が改定され、私たちが支払う医療費の自己負担額にも影響が出ている。

 診療報酬は、公的な医療保険を使って利用できる医療サービスの種類と価格を明示したもので、保険診療のメニュー表のようなものだ。日本の医療制度は、国民が負担する医療保険料で運営されており、国の予算(税金)も投入されている。公共性が高いため、保険診療の価格は国が決めており、全国一律の公的価格になっている。

 診療報酬の改定は原則的に2年に1回で、「優先すべき診療科や医療サービスは何か?」「物価や賃金水準に見合っているか?」などを考慮しながら、厚生労働省で具体的な価格が決められていく。

 価格の高い医療サービスは多くの医療機関が取り入れるようになり、結果的に国が目指す医療体制に誘導されていくので、診療報酬改定は医療体制作りの重要な柱にもなっている。

 今年度の診療報酬改定の重点課題は、物価高騰や人手不足で厳しい医療機関の経営改善だ。前述の通り、診療報酬は全国一律の公定価格で、物価が上がったからといって、病院や診療所が勝手に医療費を値上げすることはできない。

 そこで今回の診療報酬改定では、物価高騰への対応と、医療スタッフの賃上げを可能にするために、新たに「物価対応料」が設けられ、24年度に導入された「ベースアップ評価料」も大幅に引き上げられている。

 診療報酬が引き上げられれば、それに比例して患者の自己負担額も増えていく。今回は、この2つの診療報酬によって、通院による自己負担額がどのくらい増えたのかを見ていきたい。