一方、適切に尺度化(編集部注/測定対象と測定結果の数値との対応関係をルール化したもの)された学力調査の平均点で、50点と60点の差である「10点差」は、70点と80点の差である「10点差」と同じ「学力差」を持つと解釈される。
「テスト」も「調査」も
両取りする全国学力調査
日本の教育を語るうえで、「小中学校の学力がどうなっているのか」はしばしば問題となってきた。「学力低下論争」のような形で漠然とした学力について触れられる場合もあれば、「基礎的な読解力の低下」といったように、より具体的に「どの能力が低下しているか」が指摘される場合もある。このような議論を支えるのが、「日本の小中学校に通う児童生徒を対象にした学力調査」という形の「テスト」である。
通常「調査」と言えば、いわゆる「アンケート調査」のように、個別の回答結果を個人に返却しないものである。たとえば「あなたが行きたい日本の観光地はどこですか?都市名を1つ挙げてください」というアンケート調査に回答した人が、アンケート結果を集計した後に「あなたの『名古屋』という回答は、全体の3.5%しかありませんでした」というようなメッセージを個別に受け取ることはなく、ただ希望者に全体の集計結果が知らされるだけである。
しかし日本で行われている全国学力・学習状況調査では、受検した児童生徒個人に対して正解・不正解の状況が返却され、学習の振り返りのために用いられている。その意味では「テスト」に近い性質をもっている「調査」であるといえる。
日本においては、学校の授業にテストを活用するという視点からの議論が、主に学校の学習活動の一環として扱われがちである。全国学力・学習状況調査についても公立学校に通う小学6年生と中学3年生全員を対象に毎年1回行われているが、問題はすべて公開され、過去問題が指導の参考とされてきた。
この仕組みにより、学力調査の目的として直感的に受け入れられやすい「診断的評価」の側面だけではなく、学校教員向けには「形成的評価」の要素を含み、児童生徒に対しては「総括的評価」の位置づけも考えうるといったように、複数の目的を1つの調査で達成しようとしてきた。







