わが子がもっと伸びる! 中高一貫校&塾&小学校【2027年入試版】#18

「東京の中学受験塾界をひっくり返したい」――。関西で「灘中合格請負人」と呼ばれてきた吉田努氏が、2023年に東京・渋谷に開校した少数精鋭塾が「進学館ルータス」だ。26年入試では、その1期生が本番を迎えた。特集『わが子がもっと伸びる! 中高一貫校&塾&小学校【2027年入試版】』の#18では、関西の中学受験塾ナンバー2である馬渕教室を運営するウィルウェイの取締役を電撃退職してアップへ移籍した吉田氏に、1期生の“戦果”と共に独自のカリキュラム、「絶対合格」を目指す進路指導法などを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

1期生の第1志望校への合格率
首都圏72.4%、関西85.7%を達成

――2023年2月に進学館ルータス渋谷校が開校し、26年入試で1期生が受験本番を迎えました。

 進学館ルータスは現在、23年に開校した渋谷校をはじめ、24年の吉祥寺校、西宮北口校、25年の勝どき校、御茶ノ水校と、東西で計5校を展開しています。26年入試で受験本番を迎えた1期生の人数は、首都圏が29人、関西が14人です。

 中学受験における第1志望校の合格率は、およそで首都圏で30%程度、関西で40%程度といわれています。われわれが特にこだわっているのは、その第1志望校への「合格率」です。

 1期生でわれわれの進路指導で受験校全てに不合格になった生徒は一人もいません。一方で、1期生の第1志望校への合格率は、首都圏が72.4%、関西はさらに高く85.7%に達し、いずれも平均値のダブルスコアを達成しました。この合格率において私たちは絶対に負けないという自負がありますし、がっつりと取り組んでいるので今後も負ける気がしません。

 もちろん全体的な合格率だけではありません。個々の学校単位、それも難関校・有名校における合格率の高さも重視しています。

 首都圏の主な結果からいえば、1期生29人(男子12人、女子17人)のうち、筑波大学附属駒場(筑駒)2人、開成2人、灘1人、吉祥女子3人、栄光学園1人、慶應義塾普通部1人、鷗友学園女子1人などの難関校・有名校で合格を勝ち取りましたが、今挙げた学校の合格率は、吉祥女子の75%を除けば、全国最難関男子校3校(筑駒・開成・灘)を含む全校で100%です。

 また関西でも1期生14人(男子5人、女子9人。首都圏の1人を含む)のうち、灘3人、東大寺学園2人、神戸女学院8人、西大和学園3人(男子2人、女子1人)などの結果を出しましたが、いずれも合格率100%という数字をたたき出しました。

吉田努・関西大手学習塾アップ執行役員兼進学館ルータス統括よしだ・つとむ/関西大手学習塾アップ執行役員兼進学館ルータス統括。関西大手学習塾、馬渕教室(ウィルウェイ)にて校長を歴任し、2008年、同中学受験事業部長、11年ウィルウェイ取締役。灘中の合格者数を毎年伸ばし、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)に出演。18年、同新規開発本部長として名古屋に出店、1期生のうち東海中を受験した19人中16人を合格させる。21年8月より現職。

――入塾テストで生徒をある程度絞り込んでいるのでしょうか。

 いえ、決してそうではありません。1~2年生は親子面接だけで入塾できますし、3年生は入塾テストこそあるもののさほど難しくなく、受験者層の学力が最もスタンダードな四谷大塚さんの偏差値で45~50ぐらいが合格の目安になります。

 ただ4年生から入塾してくる際の合格率は、入塾テストの合格率が2人に1人と公表している四谷大塚さんよりも少し厳しい基準を設けています。1期生の場合、それまで通っていた別の塾に何かしらの不満があって4年生から転塾してきた子どもたちが大半で、入塾者の平均的な偏差値は50~55ぐらい。ですので、「後伸び」して第1志望の難関校への合格を果たしたケースが多い。

 例えば、筑駒と開成にダブル合格した生徒は、転塾時の4年生3月(塾の大半は2月から新学年)の偏差値は63.9でしたが、6年生11月には70.9へと7.0ポイント上がりました。慶應義塾普通部に合格した別の生徒は、4年生10月の49.8と偏差値50を切った状態から6年生12月には62.5へと12.7ポイント伸びています。また吉祥女子の合格者は、5年生の3月時点で45.9でしたが6年生12月には62.5と16.6ポイントも伸ばしてミラクルを起こしました。この他にも偏差値40台からのチャレンジで、人気校の東京農業大学第一や山脇学園などの人気校に合格しています。

――それまでの塾にどのような不満を抱えて転塾をしてくるケースが多いのでしょうか。

 大手塾の中にはわが子が受けている授業を見ることが全くできないところがあります。つい最近面談した保護者の話では、授業が午後9時に終わるはずが、「このクラスの生徒は今日居残りです」とだけ言われ、雨の日でも外で親御さんがずっと待っているそうです。

 そして、子どもが出てきた途端、わっと泣き出してしまったと。上位クラスであってもその中でふるいにかけられ、同じクラスのより優秀な子どもしか相手にされない、というのです。

 また別の女子生徒のケースでは、先生から消しゴムのかすを机の上の隅に集め、最後に先生がごみ箱を持って回る際にごみ箱の中に落とすよう指示されたのですが、子どもが息でふっと吹いてゴミ箱に入れたところ、先生から「ごみが俺にかかったらどうするんだ。どんな育てられ方をされたんだ」と怒鳴られたそうです。さらに帰り際にまで「こういう人間だから勉強ができないんだ」というようなことを言われ、ショックからその塾に通えなくなってしまったと。

 そうした理由による転塾が、新5年生だけでなく新6年生でさえあります。私たちも新6年生での転塾は基本的には止めますが、子ども自身が「もう嫌だ。あの塾にはもう行かない。家から足が出ない」と。

 塾で先生が子どもに言ったこと、したことは必ず親に伝わります。私たちは授業でセクハラ、モラハラ、パワハラが起きないよう細心の注意を払っていますが、こうした点に塾の東西の違いを感じます。関西では、私がいた馬渕教室さんはもとより、浜学園さんでも、日能研関西さんでも、希学園さんでもまずあり得ないことです。

――転塾後に「後伸び」して第1志望校に合格するケースが多いとのことですが、そのための指導方法はありますか。

 関西ならではの面倒見の良さをベースとした、「√+(ルータス)メソッド」という独自のシステムを構築しています。

次ページでは、進学館ルータスの独自カリキュラムや進路指導のほか、中学受験で最難関校を目指す受験生の算数のバイブル書を出版する出版社とコラボした、門外不出のオリジナル算数教材などについて聞く。