多くの人は仕事の生産性を上げようとする。だが「悩んでいる時間」を短くしようとする人は少ない。もしあなたも「悩まない体質」になれたらどんな人生が待っているだろう? いま、英語、ドイツ語、スペイン・カタルーニャ語、オランダ語など世界中から翻訳オファーが殺到している本がある。『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』だ。注目の一冊から学ぶ「一生悩まない人の責任の取り方」とは? ライター柴田賢三氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

崖っぷちに追い込まれた人Photo: Adobe Stock

「今すぐ私を解雇してください」

 以前勤めていた小さな会社で、大きな失敗を経験した。

 相手は誰もが知る超大手企業で、私はプロジェクトのリーダーを任されていた。
 仕事は順調に進んでいたが、部下の取ったある行動で先方の激しい怒りを買ってしまったのだ。

 すぐに謝罪に出向いたが、門前払い。先方の担当者の携帯もつながらない。
 他の担当者も同じ反応で、そこから何日間か電話や直接訪問を試みたが、万事休す。

 私はパニックになり、先方の会社の前から自社の社長に電話をかけ、「全責任を取るから、今すぐに私を解雇してください」と申し出た。
 そうすることで相手の会社の面子が保たれ、自分の会社と大口の仕事を守れるかもしれないと考えたからだ。

意外すぎる社長の一言

 同時に、こんなことも思っていた。
 この大型プロジェクトを受注して実現まで進めてきたのも私だし、すでに会社には莫大な利益をもたらしはじめている。
 しかも、まだ先方から契約解除も通告されていない。そもそも問題視された部下の行動も、一般論からすれば間違ってはいないと言える類いのものだから、社長も慰留してくれるだろう。

 ところが、電話から聞こえてきたのは、社長の意外すぎる一言だった。

「おまえを解雇するには取締役会を開かなきゃいけないから、この時間からは無理だ」

 私が社長に電話を入れたのは夜の7時すぎだったが、これが午前中ならどうなっていたことか。
 そもそも私を「解雇する前提」で、社長が「時間的に今は不可能だ」と言ったことにショックを受けた。

悩まない人の「責任」の取り方とは?

「北の達人コーポレーション」の社長・木下勝寿氏の著書『悩まない人の考え方──1日1つインストールする一生悩まないスキル30』の中には、責任の取り方についての項目がある。

「責任」というものをどう捉えるかも、「悩み」に大きく関係している。
 責任の「意味」を履き違えたり、責任の「範囲」を見誤ったりすることで、本来は悩む必要がないことにまで心を煩わすことになってしまう。

――『悩まない人の考え方』より

 木下氏は、多くの人が「自責」と「他責」の混在する思考アルゴリズムを持っているとしたうえで、「悩まない人」は「全部自責思考」だと断じている。

 両者の違いは、「原因」と「責任」の捉え方だとして、悩まない人になるための重要な考え方を示しているのだ。

 私の場合、プロジェクトリーダーは解任されたが、あらゆる手段を講じて仕事はなんとか継続することができた。

 この本に出会うまで、心のどこかで「他責」による被害者意識も残っていたが、それは消えてなくなった。

 私の責任の取り方が正しかったかどうかの問題ではない。
 結局、その大きな仕事が継続された事実だけをありがたく思えるようになったからだ。