繰り返される
「寝てない」アピール

 高市首相の「働く」「寝てない」アピールは今回に始まったことではない。首相に就任した昨年10月には「ワークライフバランスを捨てます」「働いて×5まいります」と宣言し、11月には「睡眠時間は大体2時間。長くて4時間」と参院予算委員会で語り、産経新聞が「周囲は体調懸念」と記事にしている。

 同じ月には午前3時から国会答弁準備のための勉強会を開いたことも問題視された。

 さらに今年の6月には衆議院予算委員会で「サナエトークン」をめぐる疑惑を追及され、「質問が自分のところに来るのは真夜中の2時、3時くらい」「金曜日の夜から今朝までの間、ほとんど睡眠もとってません」と主張し、SNSでは「首相のいい訳が小学生並み」と辛辣な言葉もあった。

 働き過ぎや睡眠不足について本人が言及するたびに批判の声が上がるのに、馬耳東風かのように繰り返されるのだからたまらない。高市首相本人が、超過労働を美徳と考えているような印象を与えてしまう。

 振り返ってみれば、首相就任の際の宣言については、「自分が働くと言っているだけなのだから」「他の人にそのような働き方を強いているわけではない」といった擁護意見も見られた。

 しかし今回の投稿での短い睡眠時間については眉をひそめる人が多く、正面からの苦言が並ぶ。例えば、産経新聞「0~3時間睡眠が常態化」高市首相のアピールに波紋 野党からは判断力低下など懸念」のYahoo!ニュース配信記事では、コメント欄で複数の識者が問題を指摘。PublicBeyond 代表取締役の遠藤結万氏は「行政トップの職責は重要な判断を自身の責任のもとで行うことにあります。例えば飛行機のパイロットが3時間以下の睡眠だったとすれば乗客は安心して命を預けられるでしょうか」と語っている。

 昨今トップアスリートや有名実業家たちの間では、むしろ8〜10時間の長時間睡眠を取るべきと言われることが多い。長い労働時間ではなく、オンオフの切り替えや短時間での集中力が重視される。厚生労働省は、成人について個人差を前提としつつ、6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保するよう推奨している。

 睡眠時間を削る働き方は令和の現代では決して美徳ではなく、むしろリスクが多く非効率的な働き方と見なされることすらある。自分の健康を損ねるだけではなく、周囲にも悪影響を与えかねないのである。