「休むことは、自分のためのわがままな時間だ」――そんな罪悪感は、脳科学の視点から見れば見当違いなのかもしれない。米国在住の精神科医・久賀谷亮氏の著書『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』には、個人の休息が組織や社会にまで広がっていく可能性についても書かれている。著者のインタビューを掲載する。(構成/小川晶子、ダイヤモンド社書籍編集局)

【精神科医が解説】へとへとの脳を休める科学的な方法Photo: Adobe Stock

個人の癒やしが組織・社会へと広がる

――ベストセラー『世界のエリートがやっている 最高の休息法[完全版]』を読むと、マインドフルネスが脳の疲れをとる「最高の休息法」であることがよくわかります。しかも、マインドフルネスは個人の休息法にとどまらず、社会全体に影響を与えるほどのものになりつつあるのですね。

久賀谷亮氏(以下、久賀谷):ええ。マインドフルネスが癒やすのは個人だけではありません。拡張していけば、組織や社会をも癒やすことができると考えています。実際、アメリカでは政治や外交などにマインドフルネスを適用しようとする流れもあり、合衆国議会内でマインドフルネスを行ったという話もあるくらいです。

――なぜそこまで広がりを見せているのでしょうか?

久賀谷:組織であろうと個人であろうと、成長していくためには努力や頑張りだけで突き進んではいけません。休息にも方法論が必要なのです。やみくもに休むのではなく、脳科学に基づいた「正しい休息法」を実践することが、個人にとっても組織にとっても不可欠になっています。

――正しい休息法を身につけることが、長期的な成長につながるのですね。

久賀谷:そうです。それは個人のパフォーマンスを上げるだけでなく、周囲の人間関係を改善し、組織全体の生産性を高め、さらには社会全体の在り方にまで影響を与えていくはずです。マインドフルネスを実践することで自分のエゴや怒り、不安が和らぎ、他者への思いやりが自然に生まれてくる。その連鎖が、職場から家庭へ、地域社会へと広がっていくのです。

マインドフルネスの究極形態は社会貢献

――ただのリラクゼーションではないわけですね。

久賀谷:はい。ただのリラクゼーションではなく、脳そのものを変える科学的休息法だからこそ、社会のあらゆる場面で必要とされているのです。自分ひとりが癒やされることが、巡り巡って世界をより良くしていく。その意味で、マインドフルネスの究極形態は「社会貢献」だと言えるでしょう。とはいえ、「貢献しなきゃ」と頑張る必要はありません。私たちに必要なのは、脳を休ませることです。

マインドフルネスは時間を選ばず、いつでもできます。呼吸に注意を向け、さまよいがちな意識を「いまここ」に戻せばいいのです。

おそらく心はすぐに別のことを考え始めるでしょうが、また呼吸に戻す。その繰り返しで、脳は変わっていきます。肩ひじを張らずに、ラクな気持ちでやってみてください。