部下のために何かできることはないかと考え、次々と施策を加えていく――しかしその「足し算」の発想こそが、チームを迷走させている可能性がある。

上司の仕事は「引き算」だ
上司の仕事は足し算ではなく、引き算だとされている。
新しい目標を加え、新しい施策を加え、新しい管理項目を加えていく――
こうした足し算の積み重ねは、チームの注意を分散させ、
何が本当に重要なのかをわからなくさせてしまう。
部下は限られた時間と体力の中で動いている。
追いかけるべき指標が多ければ多いほど、
どれも中途半端になり、成果につながりにくくなる。
上司が「あれもこれも」と加え続けることで、
チームのエネルギーは分散し、最も重要なことに集中できなくなっていく。
「命運を分けるたった一つの指標」を決めきることが、上司の責任だ
だからこそ「今、チームにとって(あるいはその部下にとって)、命運を分けるたった1つの指標は何か?」を決めきることが、上司の責任なのです。
上司に求められるのは、「今、チームにとって命運を分けるたった一つの指標は何か」を決めきることだ。
あれもこれも大切だという状況の中から、
今この瞬間に最も重要なものを一つに絞り込む判断――
これが、上司にしかできない仕事だとされている。
「たった一つ」に絞ることには勇気がいる。
他の指標を後回しにすることへの不安、
「あれは大丈夫か」という心配、
何かを見落としているのではないかという恐れ――
こうした感覚が、上司を「足し算」に引き戻そうとする。
しかし、すべてを同時に追いかけることは、
結果的に何も追いかけていないことと変わらない。
絞り込むことで、チームのエネルギーが集中する
「今月はこの一点だけを見る」と決めたとき、
チームの動きは明確に変わる。
何に集中すればいいかがわかると、部下は迷わずに動けるようになる。
迷いがなくなることで、同じ時間と体力でも、
成果につながる行動の密度が高くなっていく。
引き算とは、捨てることではなく、優先順位を明確にすることだ。
今は後回しにするものを意識的に決めることで、
今やるべきことが際立ってくる。
上司がその判断を下せないと、部下は何を優先すればいいかわからないまま、
すべてを中途半端にこなすことになる。
「決めきる」ことが、上司の最も重要な仕事だ
目標設定や進捗管理、部下の育成――上司の仕事は多岐にわたる。
しかしその中で最も重要なのは、迷いなく「これだ」と決めきれることだ。
優柔不断な上司のもとでは、部下も優柔不断になる。
何を追えばいいかわからないまま動き続けることで、
チーム全体の方向性がぶれていく。
逆に、「今はこれだけを見る」と明言できる上司のもとでは、
部下は安心して一点に力を注ぐことができる。
上司の「決めきる」という行為が、チームのエネルギーを一つの方向に集め、
成果を生み出す推進力になっていく。
今日から試すなら、チームにとって今最も重要な指標を一つだけ選び、それを部下に明言することだけでいい。
(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)



