あいまいな言葉で指示を出しておけば、とりあえずその場は乗り越えられる――しかし、その「一瞬の逃げ」が、後から何倍ものストレスとなって返ってくる。

なるべく早く

あいまいな言葉は「ストレス回避」から生まれる

上司がリスクのあるあいまいな言葉を使いたがる理由は、
具体的な数字や条件を決めることに、ストレスを感じているからだとされている。
「金曜の18時まで」と言い切るためには、勇気が必要だ。
「もし無理だったらどうしよう」「部下を追い詰めないか」「自分の見積もりが甘かったら」――
こうした迷いや責任から逃れるために、「なるべく早く」という便利な言葉に逃げ込んでしまう。

この言葉を使うことで、「いつまでにやるべきか」という判断が、
実質的に部下に丸投げされることになる。
上司はその瞬間の不快感を回避できるが、
部下の側には解釈の余地が生まれ、認識のズレが必ず起きる。
以前の記事でも触れたように、形容詞や副詞は使った瞬間に100パーセントの確率で
認識のズレを生んでしまうのだ。

「一瞬の逃げ」が、何倍ものストレスになって返ってくる

なぜ上司はリスクのあるあいまいな言葉を使いたがるのでしょうか?
それは、具体的な数字や条件を決めることに「ストレス」を感じているからです。
「金曜の18時まで」と言い切るには、勇気がいります。
「もし無理だったらどうしよう?」「部下を追い詰めないか?」「自分の見積もりが甘かったら?」。そうした迷いや責任から逃れるために、「なるべく早く」という便利な言葉に逃げ込み、「いつまでにやるべきか」の判断を部下に丸投げしているのです。
しかし、その「一瞬の逃げ」が、あとで何倍ものストレスになって返ってきます。
「ちゃんとやってるかな?」「まだ出てこないな」という不安が、上司の脳内メモリを食い潰し続けるからです。

あいまいな指示を出したあと、上司の頭の中では別の問いが浮かび続ける。
「ちゃんとやっているかな」「まだ出てこないな」――
こうした不安が、上司の脳内メモリを食い潰し続けるとされている。
締め切りを決めなかった瞬間に安心感が得られたとしても、
その後の時間をずっと気になりながら過ごすことになる。

指示の瞬間に感じるストレスの量と、
あいまいにしたことで後から積み重なるストレスの量を比べると、
後者の方がはるかに大きい。
「なるべく早く」と言い続ける上司は、
その場の不快感を先送りにする代わりに、
より大きな不安を長期間にわたって自ら抱え続けることになってしまう。

言い切ることが、上司自身を楽にする

具体的な期限を伝えることには確かに責任が伴う。
しかしその責任を引き受けることが、上司という立場に求められる役割の本質でもある。
「決断することへの対価」が上司の報酬に含まれているという視点は、
以前の記事でも触れた通りだ。

「金曜の18時まで」と伝えた瞬間、上司の頭の中から期限に関する不安は消える。
部下にとっても、いつまでに何をすればいいかが明確になるため、
余計な判断を加えることなく動けるようになる。
言い切ることは、部下のためだけでなく、上司自身の精神的な負荷を下げることにも直結している。
あいまいな言葉への逃げをやめることが、
上司としての判断力と信頼の両方を取り戻す出発点になる。

次に指示を出すとき、「なるべく早く」の代わりに、日時と数字で言い切ることだけでいい。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』をもとに作成しました)