「定年したら、好きなことをしよう」「老後こそ自由に生きよう」。そう考えて、いまは仕事を頑張っている人も多いでしょう。しかし、60代や70代になった瞬間、急に「やりたいこと」が湧いてくるわけではありません。『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』には、「つまらない老後」を迎えてしまう人が陥りがちな人生のパターンが描かれています。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「つまらない老後」を過ごす人の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

「今は我慢する」という生き方

 やりたい仕事ではない。でも、給料は悪くない。
 欲しいものも買える。だから、とりあえず続ける。

 そんな働き方をしている人は少なくない。
 そして、「これは一生続けるわけじゃない」と自分に言い聞かせる。

世界の果てのカフェ』という本には、こんな言葉がある。

私たちは、ほしいものを買うために、その仕事を選ぶ。
「一時的なことだ」と自分に言い聞かせる。
「近いうちに、何か別のことを、本当にやりたいことに向けた何かをするだろう」と信じて。
――『世界の果てのカフェ』より

「今は仕方がない」
「もう少しお金が貯まったら」
「子どもが独立したら」
「定年したら」

 そうやって、やりたいことを未来に置く。
 ところが、その「一時的」が10年、20年、30年と続いてしまうことがある

「定年したら自由」という幻想

 さらに本書では、「引退後の人生」について、こんなことが語られている。

周囲の人たちが、「いつか引退して、自分のやりたいことができる日が待ち遠しい」と話している。
そして、やがて私たちも、そんな謎めいた未来を思い描きはじめるの。
仕事をする必要がなくなり、望む人生を送れるようになる「いつか」をね。
――『世界の果てのカフェ』より

 この「謎めいた未来」という表現は、とても印象的だ。
 なぜなら、多くの人が「定年したら好きなことをする」と言いながら、具体的に何をするのかは決めていないからだ。

 旅行をする。趣味を楽しむ。のんびり暮らす。
 それくらいしか思い浮かばない。

 しかし、何十年も「自分は何をしたいのか」を考えずに生きてきた人が、定年した瞬間にやりたいことで満ちた人生を始められるだろうか。

 仕事がなくなれば、自動的に人生が充実するわけではない。
 むしろ、仕事によって埋まっていた時間が、一気に空白になる可能性もある

モノで「満たされなさ」を埋めてしまう

 では、やりたいことを我慢している間、私たちは何をするのか。
 本書では、こう続く。

だけど、とりあえずは、毎日を好きに使えないという事実を埋め合わせるために、私たちは多くのモノを購入する。
広告のメッセージが少しでも真実であることを願うの。
そういった商品が、日常生活では得られない充実感を運んできてくれることを。
――『世界の果てのカフェ』より

 仕事で疲れたから、高い服を買う。
 頑張ったご褒美に、高級な食事をする。
 ストレスが溜まったから、ネット通販で欲しいものを買う。

 もちろん、それ自体が悪いわけではない。
 怖いのは、「やりたいことをやっていない」という不満を、消費によって埋め続けることだ

 しかも、買えば支払いが増える。
 支払いが増えれば、さらに働く必要がある。
 働く時間が増えれば、やりたいことをする時間は減る。
 すると、また満たされなくなり、何かを買う。

 そんな循環に入ってしまう。

ワースト1は「やりたいことを老後に丸投げする」

「つまらない老後」を過ごす人の特徴・ワースト1。

 それは、「やりたいことを全部、老後の自分に丸投げしていること」だ。

 老後を充実させたいなら、老後になってから考えるのでは遅い。
 40代なら40代で、50代なら50代で、自分が好きなことに時間を使ってみる。

 週末に絵を描く。
 昔やりたかった楽器を始める。
 行きたかった場所へ行く。
 興味のある人に会う。

 小さくてもいいから、「やりたいこと」を現在の生活に入れていく
 そうすれば、定年は「人生を始める日」ではなくなる。

 すでに楽しんでいる人生に、自由な時間が増える日になる。
 老後を面白くする準備とは、お金だけを貯めることではない。

 今から、自分が本当にやりたいことをやっておくことなのである。