「やりたいことがない」と悩みながら、気づけばスマホを眺めて1日が終わる。そんな毎日を送っている人は少なくありません。しかし、問題は「やりたいことがない」ことではなく、自分が何をしたいのかを考えないまま、時間を使っていることなのかもしれません。『やりたいことが見つかる 世界の果てのカフェ』には、そんな日常から抜け出すための「質問」が登場します。「何度読んでもハッとする」と話題の一冊から、相談者に響いた名言について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

本当の本当に「やりたいこと」が見つかる、素晴らしい質問・ベスト1Photo: Adobe Stock

最近、こんな相談があった

「33歳です。気づいたらスマホを触って時間が溶けています。仕事もなんとなくルーティンをこなしているだけで、どんどん気が滅入っていきます。どうすれば『やりたいこと』ができるでしょうか?」

 相談者の話を聞いていて印象的だったのは、「やりたいことがない」と言いながら、毎日かなりの時間をスマホに使っていることだった。

 SNSを眺める。動画を見る。ニュースをチェックする。
 そして会社では、昨日と同じ仕事をこなす。

 もちろん、それ自体が悪いわけではない。
 ただ、自分から「今日はこれをやりたい」と選んでいる時間がほとんどないのだ。

 私はこの相談を聞いて、『世界の果てのカフェ』の一節を思い出した。

これほど「何でもできる時代」はなかった

 本書には、こんな言葉がある。

「人類史上かつてないほど、私たちは世界中の情報や人や文化や経験にアクセスできるようになっているわよね。存在理由を満たそうとするなかで、私たちが現在、直面している限界は、アクセスしやすいかどうかではない。自分に課している制限なのよ」
「きみの言うとおりだ。まったくそのとおり。しかもぼくは、そのアクセスの良さをうまく活用していない気がする。自分の時間の使い方を考えてみると、毎日ほぼ同じことばかりしているよ」
――『世界の果てのカフェ』より

 今は、やろうと思えば何でもできる時代だ。

 世界中の本を読める。
 知らない仕事について調べられる。
 新しい技術を学べる。
 遠く離れた人の考えにも触れられる。
 それなのに、その圧倒的な「アクセスの良さ」を、昨日と同じ情報を眺めるためだけに使ってしまう。

 スマホで時間が溶けるという現象は、ある意味で象徴的なのかもしれない。
 問題はスマホではない。
 自分がどこへ向かいたいのかが決まっていないことなのである。

「みんながやっていること」で一日が埋まっていく

 さらに本書には、こんな言葉がある。

「たぶん、『あなたはなぜここにいるのか?』という質問の答えがわからないからだと思う。なぜここにいるのか、何をしたいのかが、はっきりとわからないから、たいていの人がやっていることをこなすだけなんだ」
――『世界の果てのカフェ』より

 これは、少し怖い言葉だ。
 自分が何をしたいのかわからなければ、時間は自然と「他人が用意したもの」に奪われていく。

 会社に行く。頼まれた仕事をする。帰宅してSNSを見る。おすすめされた動画を見る。話題になっているドラマを見る。そうやって「みんながやっていること」をこなしているだけで、人生は驚くほど簡単に埋まっていく。

 だからこそ、ときどき立ち止まって、自分に問いかける必要がある。

素晴らしい質問・ベスト1

 相談者に私は、こう伝えた。

「スマホを見る前に、『自分はなぜここにいるのか?』と考える時間をつくってみてください」

 すぐに答えが出なくてもいい。
「人生の目的なんて大げさだ」と感じてもいい。

 大切なのは、自分の時間を何に使いたいのかを、自分自身に問い始めることだ。

「本当は文章を書いてみたかった」
「知らない国を旅してみたい」
「もっと人と関わる仕事がしたい」

 そんな小さな気持ちが出てきたら、今度はスマホを、そのために使えばいい。
 調べる。学ぶ。人とつながる。行ったことのない場所へ行く。
 同じスマホでも、暇をつぶす道具から、人生を広げる道具へと変わる。

「やりたいこと」は、スマホの画面を眺め続けた先に出てくるものではない。

「自分はなぜここにいるのか?」。まずは、その質問を自分に向ける。
 そこから、「みんなと同じ毎日」ではない、自分の人生が始まるのである。