映画『時には懺悔を』に出演する満島ひかりさん(左)と西島秀俊さん(右)映画『時には懺悔を』に出演する満島ひかりさん(左)と西島秀俊さん(右) 出典:PRTIMES

今年も早いものでもう残すところあと3カ月となった。2026年の邦画で評価が高い作品を挙げるのであれば、おそらく『時には懺悔を』は上位に上がるのではないか。興行収入が目覚ましく伸びているわけではないが、業界内からの絶賛が多い。むしろ興行が伸びないことこそ、絶賛される理由の一つなのかもしれないとも感じる。(フリーライター 鎌田和歌)

興行収入だけなら「成功」とは言いにくいが……

 2018年の『来る』以来となる中島哲也監督の新作『時には懺悔を』が、映画関係者から高い評価を集めている。 

 これだけ絶賛されているのだから、興行的にもかなりの成功を収めているのだろう――と思いきや、数字を見ると少なくとも「大ヒット級」のスタートとは言えない。

 8月28日に公開された同作は、初週末3日間で観客動員8万1060人、興行収入1億1420万円にとどまった。公開時期が比較的近い他の邦画『白鳥とコウモリ』(30万2000人/約4億3200万円)、『踊る大捜査線N.E.W.メトロポリスを駆け抜けろ!』(60万5000人/8.9億円)などと比べても目立った数字とは言えない。

『下妻物語』『告白』『来る』などのエンタメ作品で知られる中島監督の新作としては、ややさみしい結果かもしれない。西島秀俊、満島ひかり、黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、役所広司といった豪華キャストが集結しているのに、とも感じられる。

 ただ『時には懺悔を』の評価は数字では語れないところがある。

 映画に寄せられた俳優たちからのコメントは「試写室を出た後、真っ直ぐ家に帰れなかった」(松たか子)、「映画を見て、こんなに涙が止まらなくなったのはいつ以来だろう」(妻夫木聡)、「まさか自分が涙するとは」(木村佳乃)など。

 PRのために使われるこういったコメントは普段なら浮いて見えることもあるが、作品を見た後ならば、なぜ同業者である俳優たちが手放しの絶賛を送っているのかが少しわかるような気もする。