もっとも有名なのは、この番組を代表するクイズ王である西村顕治が、問題冒頭の「アマゾン川で」しか読まれていない段階でボタンを押し、「ポロロッカ」という正答を導きだしたシーンです。
読み上げ開始からわずか0.9秒。その神業とも言うべき解答速度と、西村の巨躯から繰り出されるダイナミックな所作は視聴者に強烈な印象を残し、のち漫画『幽☆遊☆白書』でもパロディにされました(注2)。
『史上最強』のクイズ王は
別格と見られていた
後追いで始まった『FNS』のクイズ王たちと比べても、『史上最強』の西村のパフォーマンスは圧倒的でした。
ナンシー関は一連のクイズ王ブームを、「難しすぎるものは御法度」というセオリーをあえて破った「超難問クイズブーム」と位置づけたうえで、後発の『FNS』を見て「TBS(引用者注:『史上最強』のこと)に出ているクイズ王のほうが強い事が明らかに分った」といいます。
『クイズの戦後史「話の泉」、「アメリカ横断ウルトラクイズ」からQuizKnockまで』(徳久倫康、平凡社)
視聴者の中に『史上最強』のクイズ王の強さが刻み込まれ、尺度として機能するようになった結果、多くの視聴者が「自分は分らなかったけど、西村(TBS系クイズ王の一人)なら2秒で答えるぜ」という感想を持ったはずだ、とナンシー関はいいます(注3)。
とはいえいままで見てきたように、このような超人的な解答が可能となったのは、問題文の外側に解答を規定する別の指標が存在していたからにほかなりません。
クイズ王ブームを盛り上げた諸番組は、一般視聴者には見えないコミュニティ内のデータベースによって、裏側から支えられていたのです。
(注2)冨樫義博『幽☆遊☆白書』完全版12巻、集英社、2005年、148-149頁。
(注3)ナンシー関「クイズ王 大食い 超人的シロウトには降参しちゃうね」、『現代』1991年3月号、84-85頁。







