リーダーに抜擢すべき人と、今すぐ辞めさせるべき人。その差はどこにあるのか? USAトゥデイが「小説のような最高のノンフィクションだ。ページをめくる手が止まらない!」。ニューヨーク・タイムズ「The 10 Best Books of 2025」。バラク・オバマ「2025年のお気に入り本」選出。英国の文学賞「ネロ・ブック・アワード」金賞。山口周/椎名誠/佐藤優/角幡唯介絶賛。アドレナリン全開の航海アドベンチャーと心揺さぶるラブストーリーが融合した話題書『極限の漂流118日間』をもとに、両者の違いを、ライター照宮遼子氏がレポートする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)
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訂正シール貼りに駆り出された嫌な記憶
以前勤めていた出版社時代のこと。
周年パーティの前日、配布物に誤字が見つかった。
社内では、受け取る人数は限られているから、このままでいいのでは? という声もあった。
一方、出版社として配るものに誤字があるのはまずいという声もあった。
結局、訂正シールを貼ることになった。自分の担当ではなかったが、人手が足りず、私も作業に入った。
印刷に入る前に、ダブルチェックをしていたら防げたのではないかという疑問が止まらなかった。
今すぐ辞めさせるべきリーダーの特徴とは?
「漂流者だけが知る、あらゆる人間性がはぎとられた先にある生き物としての生。それに圧倒される」と極地旅行家の角幡唯介氏が評した『極限の漂流118日間』(ソフィー・エルムハースト著/村井章子訳)には、彼らを見つけた船長側からの描写がある。
甲板長のキム・ミンチャンが船長室にやってくると、右舷三キロの位置に何か妙なものが見えると報告し、船長の判断を仰いだ。(中略)
ソはかまわず針路を維持せよと命じたものの、そのまま黒い点を凝視していた。(中略)自分でも説明できない理由から、ソにはその点をやり過ごすことができなかった。
――『極限の漂流118日間』より
当時の韓国船ウォルミ号は、乗組員も船も限界に近かった。
太平洋に浮かぶ黒い点の正体を確かめるには、針路を変えるしかない。
だが、それがただの漂流物なら、帰国を急ぐ船にとっては余計な時間と手間でしかない。それでも船長のソは、針路を変えた。
他の船長なら見て見ぬふりをしていたかもしれない。
これによって夫モーリスと妻マラリンの人生は一変した。
仕事でも、問題は見つけた瞬間に負担へと変わる。
だから余裕がないときほど、ダメなリーダーは「これは見なかったことにしよう」となりやすい。問題そのものより、あとから発生する作業のほうを重く見てしまうのだ。
私自身、国内外で数々の企業に勤めながら、人の上に立つ人をたくさん見てきた。
その中で思うのは、最悪なリーダーとは「見て見ぬふりをするリーダー」ということだ。
その場で起きている悪い状況を「見て見ぬふりをするリーダー」がいると、そのチームのメンバーが大変なことになるのをたくさん見てきた。
チームメンバーは上からのプレッシャーに常にさらされている。メンバーのメンタルを守るためにも、こんなリーダーは今すぐやめさせたほうがいい。
できるリーダーの特徴とは?
一方、できるリーダーは、部下や環境などの小さな変化を見逃さない。
何か変だなという気づきをその場で解決するから後々やっかいな仕事が残らない。
仕事の現場では、ミスや異変に気づいた瞬間、予定外の作業が生まれることがある。
気づかなかったことにすれば、その場だけは早く終わる。
だが、残った問題はあとからもっと大きな手間となって戻ってくる。
本書はただの漂流記ではない! 余裕のない人が想定外の出来事にどうやって向き合うべきかを考えさせてくれる。
「本当は気づきたくなかったのに、今さら気づいてしまった問題」というのは誰しもあるのではないか(少なくとも私にはたくさんある)。
そこから目をそらしたくなったときに読んでみると、多くの気づきがあるかもしれない。








