東京・高田馬場駅の近くの雑居ビルには複数の中華料理店が入っていて、一階にそれぞれの店の小さな看板が出ている。たまたま通りかかったとき、そこに「ガチ中華です」と日本語で書いてあって、笑ってしまった。

 自ら「ガチ中華」と日本語で看板に書くのは、「いかにも怪しくない?」と感じた。だから、経済データのように、いつの時点で何店舗とはっきり表すことができない。

ブームの始まりは
2015年の池袋だった?

 私は、ガチ中華の“走り”は、2015年頃ではないか、と勝手に分析している。

 その年、東京・池袋に四川省発の火鍋チェーン「海底撈火鍋」がオープンした。それがすべての始まり(?)だったのではないかと個人的には思っている(むろん、これが正解とは断言できないし、不正解ともいえない)。

 同店は1994年に四川省簡陽市で誕生した。省都の成都市に隣接する人口100万人前後の都市だ。

 日本の100万人都市(政令指定都市)は横浜市、札幌市など十数都市だが、中国は規模感が違う。人口が日本の10倍以上の中国の感覚では、1000万人都市が日本の100万人都市のイメージに近い。

 中国の1000万人都市は北京市、上海市、杭州市、西安市など20都市近くある。中国で人口100万人は多いとはいえず、簡陽市は平凡な地方都市といっていい。

 そこで誕生した同店は数年でチェーン展開に成功し、現在では世界に1700店以上もある巨大火鍋チェーンになった。日本以外にアメリカ、カナダ、韓国、シンガポールなど16カ国・地域に出店している。

 池袋の店がオープンして間もないときに私も足を運んでみたが、1時間以上も店の外に並んだ記憶がある。驚いたのは、客のほとんどが若い中国人だったことだ。

 いまでこそ「ガチ中華」=在日中国人だらけ、が当たり前になっているが、その当時はそんなに中国人が並ぶ店は珍しく、そのとき感じた「アウェイ感」が強く印象に残っている。