航空便は減便して運航していたが、運賃が高騰したことや、中国に行く際は、政府指定のホテルに2~3週間隔離され、部屋から一歩も出られなくなるという厳しい措置が取られたこともあって、よほど重大な用事がない限り、行き来ができなくなったのだ。
そんな最中、21年頃から東京都内に続々とガチ中華がオープンし始めた。
ガチ中華は、「爆買い」がブームとなった15年頃から徐々に増え始めていたが、コロナ禍で往来できなくなったことによって、逆に一気に広まるという現象が起きた。中国に帰れなくなった在日中国人が、日本にいながら「本場の味」を求めるようになったからだ。
右肩上がりで増え続ける
在日中国人のガチ中華ニーズ
私はガチ中華が急増した頃、池袋にある火鍋チェーン「譚鴨血老火鍋」を取材したことがある(現在は閉店)。
経営者の男性は大連出身。01年に留学で来日し、その後、不動産業などを営んでいたが、知り合いから四川省成都市で創業した同店を紹介され、日本でフランチャイズ展開したという。
日本1号店のオープンは15年だが、人気が出てきたのは20年以降とのことで、コロナの流行と合致する。
中国の飲食チェーンは有名俳優やインフルエンサー(中国語で網紅)を使ってSNSで一気に店の情報を拡散、知名度を上げて店舗数を拡大していくという手法をとるが、この店も同様のやり方を導入した。
コロナ禍で外出が難しい時期、自宅でSNSを見る人が多く、知名度アップに結びついたという。
ガチ中華が日本で認知されるようになったもう1つの理由は、在日中国人が増加し、彼らが経済的に豊かになったことだ。
出入国在留管理庁の統計によると、在日中国人は15年には約66万6000人だったが、25年12月末には約93万人となった。10年間で約27万人以上も増加した計算だ。コロナ禍で一時停滞したものの、ほぼ右肩上がりで増え続けている。
彼らが日本で自分たちの国の料理を食べたいと強く思ったことが、ガチ中華の増加と深く関係している。







