「彼は期待の若手だから」。20代の頃、そう言われていた人が、40代になって伸び悩むケースは少なくない。一方で、若い頃はそれほど目立たなかった人が、年齢を重ねるほど存在感を増していくこともある。この違いは、何か。書籍天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論には、その理由が書かれている。

「期待の若手と呼ばれた人」の20年後Photo: Adobe Stock

「期待の若手」の20年後

「彼は期待の若手だから」。会社ではよく聞く言葉だ。仕事を任される。多少の失敗は許される。先輩や上司も積極的に助けてくれる。しかし、この「期待の若手」という評価は永遠には続かない。20年後も同じ戦い方を続けられないからだ。

著書では、実践的な才能論「カード思考」を提唱している。

僕は、いわゆるスキル・特性など人が持つ力のことを、それぞれの局面を打開する武器=「カード」として捉えている。僕らが持っているスキルや特性は、選手交代のように、現状を好転させるための切り札として使うことができる武器だからだ。

人はそれぞれ異なる「カード」を持っている。そして、その中には年齢とともに価値が変わるカードもある。「若さ」「将来性」。「かわいげ」「愛嬌」などだ。

20代では、それだけで周囲が応援してくれることがある。多少仕事ができなくても、「これから伸びる人」として期待される。しかし、それらは一生使えるカードではない。年齢を重ねれば、自然と効力は弱くなっていく。

落ちこぼれる人は、カードを更新しない

期待の若手だった人が40代で伸び悩む最大の理由は、能力が低いからではない。無意識のうち、若い頃のカードだけで戦い続けてしまっているからだ。昔は笑って許された発言が、今では「頼りない」と映る。「若いから仕方ない」は、「経験があるのになぜできない」に変わる。周囲が求めるカードそのものが変わっているのである。

「自分のベテラン」はカードを入れ替え続ける

だからこそ必要なのが「自分のベテラン」であり続けることだ。「自分のベテラン」とは、文字通り、「自分を最もよく知る人」のこと。この先にあるのが「自分の天才」だ。

しかし、それは一度なれば終わりではない。年齢を重ねるたびに、自分のカードを見直し、更新し続けなければならない。

20代で「愛嬌」のカードを使っていた人は、40代では「風格」など、年代に合ったカードを育てていかなければならない。「かわいげ」のカードは「箔」のカードへ。「若さ」のカードは「経験」のカードへ。「勢い」のカードは「判断力」のカードへ。そして、「期待される人」は「周囲を安心させる存在」へ変わっていく必要がある。
場合によっては、「圧」のようなカードも必要になる。ここでいう圧とは、人を威圧することではない。「この人が言うなら従おう」と思われる存在感や、積み重ねた実績から生まれる重みのことだ。

20年後も伸びる人は、自分を更新し続ける

20年前に「期待の若手」だったことには、大きな価値がある。しかし、その肩書だけでは20年後は戦えない。

本当に伸び続ける人は、若い頃にもらった評価にしがみつかない。今の自分にはどんなカードがあり、これからどんなカードが必要になるのかを考え続ける。つまり、「自分のベテラン」を更新し続けるのである。