儲からない会社に共通する12の弱点、経理部は「決算を行っていれば大丈夫」という考え方は非常に危険写真はイメージです Photo:PIXTA

人件費の高騰に伴い、海外へ拠点を移転した、とある日本の製造企業がありました。何年も赤字から抜け出せない状況が続いており、原因を調査したところ、ある衝撃の実態が明らかになりました。しかしこの会社の経営者や経理部のような考え方は、日本企業においては決して珍しくありません。本稿では、儲からない会社にある12の弱点と、その対策となる考え方を紹介します。
※本稿は、堀切俊雄『利益を最大にする実践的手法 トヨタ流原価マネジメント』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

儲からない会社の事例

『トヨタ流原価マネジメント入門、社長の「原価10%低減」方針を社員が誰一人理解も実行もしなかった会社の末路』を読む

 家庭用製品を造っている日本のある製造会社の例です。この製品は日本製と欧州製があり、価格的には厳しい市場です。この製品を2010年ごろまでは中国で生産し、日本と米国、欧州に輸出していました。しかし、中国の人件費や外注部品などの経費が上がり、ベトナムに生産拠点を移しました。

 日本の本社には社長(オーナー)をはじめ数人が勤務しています。この会社はベトナムに法人会社を造り、そこには約1000人のベトナム人と数人の日本人が駐在して勤務しています。会社の実態は工場が主体です。ベトナムの法人会社は社長と経理部、調達部は日本人の駐在員が運営しています。

 日本の社長の悩みはベトナムの会社が赤字であることでした。何とか利益が出るようにしたいので、ベトナムの法人会社を調査して診断してほしいと依頼されました。日本の社長は日本におり(数年間もベトナムには出張していない)、現地の日本人からのメールで情報を得て指示を出すことで会社の運営をしていました。

 早速、筆者は現地に出張して調査を開始しました。財務会計は経理部の日本人の部長と日本人のスタッフの2人で処理していました。「各部署への原価改善の働きかけの活動はどうしていますか」と質問したところ、「原価改善の仕事は経理部の仕事ではありません。財務会計のデータは会社の機密情報です。他の部署に原価の情報を流すことはできません。経理部の2人だけで財務会計のデータを取り扱っています」と回答があり、驚きました。