その影響について、五十嵐特任准教授が国保や健保のレセプト(医療機関が保険者に提出する診療報酬の明細)データをもとに調査・分析した結果が[図9]だ。
同書より転載 拡大画像表示
このグラフからはさまざまなことが読み取れるが、まずひと目で顕著にわかるのは、0~9歳の若い年代(左端)でがん患者の自己負担軽減額が他よりも大きく突出していることだ。これは、五十嵐特任准教授によると、「若い人はまれにしか該当しないけれども、ひとたびがんのような病気になると治療には非常に大きな費用がかかり、高額療養費制度の適用で救済される額も大きい」ことの現れだという。
若いがん患者は
1人当たりの軽減額が大きい
「一方、高齢者の場合はさまざまな疾患で制度を利用する人が多い半面で、1件あたりの金額は若年層のがん患者ほど多くはありません。つまり、制度を〈広く浅く〉使用する高齢者に対して、若年世代は〈狭く深く〉使用する傾向が高い、ということです。近年は医療や社会保障が〈高齢者対若者〉という対立軸で捉えられがちで、高額療養費制度の議論が『お年寄りは高い薬を安く使い放題にできるんだ』という方向に流れてしまうと、この制度で命を救われている若い世代の実態が置き去りになってしまうかもしれない、と危惧し、データベース会社に協力してもらってこの統計を取りました」
このグラフからわかるもうひとつのことは、各世代区分で左側の棒が示すがん患者と同様に、右側の棒が示すRA膠原病(関節リウマチなど)患者も高額療養費制度を多く利用していることがはっきりと数字で示されている、ということだ。







