こうした営みを、私は「創造的怠惰」と呼んでいます。他人や周囲からの期待を、主体的にスルーすること。自発的にあえてサボること。それによって、抑圧していた衝動や好奇心を回復する行為を指しています。
もちろん、単に仕事を放棄しようと言っているわけではありません。ただサボるだけでは問題行動と見なされ、上司や顧客から叱られるだけでしょう。
もっと努力すれば、もっと速く反応できるかもしれない。もっと努力すれば、もっと反応のクオリティを上げられるかもしれない。期待に応えて、もっと評価されたい──。そんな思いをぐっとこらえて、あえて反応を停止するのです。
このあんばいの調整がなかなか難しいのですが、だからこそ技術として鍛える必要があります。
すぐに返信を返さない「沈黙タイム」(編集部注/メールのリアクションをあえて「遅延」させる時間帯)をつくる実践は、うまくサボるための第一歩になるでしょう。
社会的な役割から離れて
純粋な「私」に戻ってみる
そのほかにも、社会的な役割を横に置いてみることも良いエクササイズになります。
私たちは仕事をしていると、知らず知らずのうちに「マネージャーの◯◯さん」といった役割に、自分を同一化してしまいます。
その責任を完璧に果たそうとすることは、他人の期待に応える時間で自分の人生を満たす行為にほかなりません。
ビジネスパーソンとしては称賛されるかもしれませんが、それはときに自分の衝動や好奇心を抑圧します。
そこで、社会的な役割を演じることを一時停止して、純粋な「私」を主語にして考える時間を意図的につくり出すのです。
私自身も、社内のコミュニケーションにおいて、自分が「社長」っぽくならないように意識しています。「経営者としては反対すべきかもしれないけど、安斎勇樹としては面白いので賛成」など、主語を使い分けています。
自分のなかに複数の矛盾する人格・役割があることを自覚して、それを相対化することで、社会的な役割と自己の癒着をはがすのです。自分の衝動が顔を出せるぶんの余白をつくるイメージです。







