小学校から企業研修、さらには少年院まで、さまざまな現場で教えてきた小説家が教える、世界一やさしい「言語化」にまつわる授業。本記事では、子どもも読めて、大人に刺さる『小学生でもできる言語化』をもとに、「頭の回転が遅くなる口グセ」について、ライターの柴田賢三氏にご寄稿いただいた。(企画/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

「頭の回転」が遅くなる“最悪の口グセ”・ワースト1Photo: Adobe Stock

「あれ?」が増えたら要注意

「あれ、あれ、あれ何だっけ?」

 最近、私がよく使ってしまう口癖です。

 もうひとつあります。

「あの人、あの人、あの人って誰だっけ?」

 年をとるにつれて、次第に言葉が出なくなってしまう。

 50代半ばの私と同年代、もしくは先輩方なら、大きくうなずいてくれる現象のはずです。

絵は見えているのに、言葉が出てこない

 こうした場合、頭の中にはハッキリと「映像」は浮かんでいたりします。

「あれ」の指す物体の姿形や、「あの人」と言ってしまう知人や有名人が、自分だけには“見えている”。

 でも、言葉が出なくて悔しい思いをするのです。

家族が「答え」を教えなくなった理由

 この現象が出はじめた頃、30年以上連れ添ってくれている同い年の妻は、一発で私の言いたいことを理解して「答え」を教えてくれてスッキリしていました。

 中学生の娘も、つい最近まではおもしろがって、私の言いたいことを推理していましたが、最近は二人が答えやヒントを出さず、じっと私が思い出すのを待つようになりました。

 二人に理由を聞くと、まわりが答えを提供していると、どんどん症状が悪化して、将来的な認知症にもつながりかねないとテレビで警告していたそうです。

 そんな大げさな……と思っていましたが、自分でも怖くなり、今では言葉を思い出すまで記憶と戦う毎日です。

「あれ」で済ませない

『小学生でもできる言語化』という本には、こんな一文があります。

そもそも言葉というのは、年を重ねるにつれていつしか自然と身についていて、なんとなく使っているだけでもそれなりに日常生活は送っていけるものです。

――『小学生でもできる言語化』より

 著者で作家の田丸雅智氏は、小学生たちに「言語化が苦手でも大丈夫だよ」と安心させた上で、わかりやすく言語化のコツを紐解いてくれるのですが、「年を重ね」過ぎると再び言語化が難しくなるのです。

 家族には突き放されている私ですが、同年代の仲間と酒でも飲むと、全員が「あれ、あれ、あれ何だっけ?」と「あの人、あの人、あの人って誰だっけ?」の繰り返し。

 誰も答えが出せず、あきらめて次の話題に移るなんてこともしばしば。

 最後はお決まりの言葉が出ます。

「これ以上、年とりたくねぇな……」