「いまの生活に大きな不満はないけれど、なんだか毎日がつまらない……」そう感じる人もいるかもしれませんね。それは、「世界がつまらなくなった」のではなく、実は自分自身が「面白さ」を受信できていないだけかもしれません。ベストセラー『13歳からのアート思考』の著者・末永幸歩氏の、6年ぶりの新刊『「いまを生きる力」を取り戻す 感性の教室』から内容を一部抜粋して、「毎日がつまらない」と感じてしまう理由についてお届けします。
Photo: Adobe Stock
「世界がつまらなくなった」のではなく
「面白さ」を受信できていない
あなたが日々感じている「なんとなく物足りない」という感覚の正体、そして「なぜ今、感性が必要なのか」を紐解くために、まずは下のデータをご覧ください。
『「いまを生きる力」を取り戻す 感性の教室』p26より
左側は、世界各国・地域の「GDP(国内総生産)」のトップ10ランキングです。2026年4月に公表された日本の名目GDP(予測値)は、約190の国・地域のなかで「トップ4」。世界の国々と比較して、経済的・物質的に豊かな国であるのは間違いありません。
右は、OECD(経済協力開発機構)による「よりよい暮らし指標(Better Life Index)」から、「幸福感(Subjective well-being)」の項目のみを取り上げたものです。
「自分の生活・人生に満足しているか?」などの質問に“主観的”に回答するという項目において、日本は37カ国中34位と「ワースト4」にあたるのです。
なんとも残念な結果ですが、どこか思い当たることはないでしょうか……?
忙しいけれど仕事があるのはありがたいし、十分とは言えないけれど、ちゃんと給料ももらえている。
好きなことをしたり、家族や友人と過ごしたりする時間も少しはある。
たまの贅沢や、年に数回の旅行だってできる。
でも、「自分の人生に満足しているか?」と問われると、はっきりとは答えられない。
なにをしていても、なんとなく楽しめない。
毎日が少しつまらない。なんだか、ものたりない……。
2つのランキングから見えてくるのは「なんだか、ものたりない……」と感じる原因が、「お金が足りないせい」「ほしいものが手に入らないせい」だけではないという可能性です。
その根本要因こそが「世界からの働きかけを受け止める能力(=感性)」の喪失にあると、私は考えています。
たとえ、たくさんのモノを手に入れることができても、どれだけ楽しそうな場所に出かけられたとしても、そこから自分なりになにかを「感じる」ことができなければ、本当の意味での「満足感」や「充足感」が得られることはありません。
逆に言えば、「なんだか、ものたりない……」を抜け出すためには、必ずしもたくさんのお金を手に入れたり、特別な体験をしたりしなければならないわけではないのです。
「感性の扉」さえ開いていれば、東京の濁った夜空に浮かぶ月にでさえ心を寄せて想像を紡いでいた子どものように、日常の些細なものごとからでも、多くのものを受け止め、自分なりに感じることができるはずです。
そして、その積み重ねこそが「いまを生きる」ことなのだと、私は信じています。
「自分なりの答え」や「新たな問い」を捻り出そうとする以前に、まずは「感性の扉」を開け放ち、「自分だけのものの見方」で世界を見つめることが大切です。
難しいことのように思われるかもしれませんが、身構える必要はありません。
「見る」ことに意識を向けてさえいれば、コップにゆっくりと注がれた水がやがて自然にあふれ出すように「答え」や「問い」はおのずと湧き出てくるものだからです。
本書は、閉ざされた「扉」を、もう一度開くための教室です。






