定員割れのペナルティー
その厳罰化が与えた影響とは?
文科省は24年度、この定員割れによる「ペナルティー」を厳しくした。それまでは「3年連続で学生が収容定員の8割未満」となったうえで、さらに他の基準にも引っかかると対象外となっていた。だが、24年度からは、原則として「3年連続8割未満」となるだけで、対象外としたのだ。まさにこの厳格化によって、川村学園女子大学はペナルティーを受けることになった。
私立の大学や短大は、学生が十分に集まらないと、授業料収入などが減って経営難に陥りやすい。それがわかっていながら、文科省はなぜペナルティーを強化したのか。
定員割れが深刻化すれば、学生の教育環境は悪化しがちになる。また、無条件に修学支援新制度の対象としてしまうことで、本来は経営が成り立たない状況の大学などを「救済」してしまうのを避けたい。文科省はそう説明する。
同じような考えで、学生数が収容定員に満たない大学に対しては、教職員の人件費や研究費などに充てられている、国からの私学助成を減らされるペナルティーもある。収容定員の9割を切ると減額が始まり、5割以下になるとゼロになる。私学助成は平均で私立大学の収入の1割弱を占めており、こちらも減額されたり中止されたりすれば大きな痛手だ。
『崖っぷちの私立大学 偏差値で測れない価値をどう見抜くか』(朝日新聞「ひらく 日本の大学」取材班、朝日新聞出版)
こうしたペナルティーを避けるために、大学はある程度の対応をとることはできる。よく使われるのが、学生の定員を減らして分母を小さくする方法だ。例えば収容定員が1000人の大学に学生が500人しか在籍していなければ、定員充足率は50%だ。だが、定員を500人に減らせば充足率は100%になる。
川村学園女子大学は2000年以降、何度かに分けて定員を減らしてきた。すでに現在の定員は、当初の半分以下。授業料や施設設備費といった学生納付金に収入の多くを頼る大半の私立大学にとって、定員減を続けることには限界がある。
学生が減れば当然ながら納付金は減ってしまう。一方で、すぐに教職員に退職してもらうのは容易ではなく、支出を一気に減らすことは難しいからだ。ギリギリまで定員を減らして収支が悪化していたうえ、修学支援新制度の対象外になったことで、さらに学生が減ることが確実となった。24年の「ひらく日本の大学」調査に、川村学園女子大学は「他大学との統合を検討している」と回答。医療創生大学に学部・大学院を譲渡する協議を始めたと発表したのは、その1年後だった。







