学生が伸びるポイントを
予測するのは難しい
つまずきのポイントは解消できるようになった。次なる課題は伸びるポイントの見つけ方だった。大澤学長は「学生ごとにバラバラなんですね。なかなか掴めないんです。どうしたらいいかとさまざまな議論をしてきたのですが、結論としては、学生はそれぞれ個性があり、育ってきたバックグラウンドがあるので、どこまで伸びるかは予測しづらいということでした」と振り返る。そこで、キャンパス全体を大学から社会に少し広げて、企業や自治体と関連するプロジェクトをたくさん作る発想にたどり着いたという。
この方向性を見いだしたことが、社会実装型の総合大学に転換する契機となった。例えば、学んだことを就職にどのように活かすか、を考える授業では、企業の長期インターンシップに参加し、給与を得ながら1単位を取ることができる。「金沢は中小企業が元気で、ちょうどよい規模のフィールドで、大学や学生が関わりやすい。地域全体で学生を育てるスタンスで、企業側は応援してくれる。こうした取り組みは、大都市では実現しにくいかもしれない」と語る。
企業のプログラムで得た成果は学生ごとのポートフォリオにまとめ、就職活動に役立てる。ポートフォリオの内容をAIが学生にフィードバックし、さらに教員がフィードバックする。二重に確認することについて、大澤学長は「AIだけでは学生がどのような理由でつまずいて、かんばしくないのか、あるいはなぜハッピーなのか、ということはわからない。だから教員が学生の情報を対面でしっかりとらえる。AI任せにしない点について、面倒見が良いと思っています」と説明する。
2023年にはポジティブ心理学を使った必修科目を作った。いくら一生懸命学ぼう、一緒にやりましょうと教員が呼びかけても、学生の意欲を引き出すことには限界がある。そこでポジティブになるためにはどのような習慣をつけたらよいか、どんな演習をしたらよいかを、オーストラリアのメルボルン大学の教員に教わり、全学部で必修化した。「これから新しいことに挑み、イノベーションを起こすのだという意欲をどのように引き出すか。問題を発見し、課題を解決するだけではなく、良いところをどうやって伸ばすか。ポジティブな側面に焦点を当てた教育が求められている」と考えているという。







