学生を支えるのは
大学だけではない

 周囲を巻き込む戦略はさらに広がっている。大学が提携している約200のマンションや、寮、アパートの貸主までが、学生の生活を支えようと大学と協力する。

 学生の半数、約3000人は大学の周辺に下宿している。学生たちに声をかけてもらい、体調がすぐれない様子であれば、病院や学内の診療所での診察を促してもらう。大学と地域全体で学生を育てる仕組みができているのだ。

 保護者向けのポータルサイトも作った。学生の出席状況や成績がわかるようになっており、登録者は増えているという。

 出席やリポート、中間テスト、期末テストと細かく点数化して評価する。学生はそれを積み上げていかなければならない。また、1年生は必ず1時間目と4時間目に講義を受けることになっている。その間の時間に課題をこなしたり、他の学生と話をしたりすることに使うように大学は求めている。だが、こうした環境に疲弊する学生もいる。

『崖っぷちの私立大学 偏差値で測れない価値をどう見抜くか』書影崖っぷちの私立大学 偏差値で測れない価値をどう見抜くか』(朝日新聞「ひらく 日本の大学」取材班、朝日新聞出版)

 学生一人ひとりの生活にまで目配りをするには、教員のマンパワーが足りない。また、毎年、全国56会場で開く教職員や学生スタッフと保護者との交流会では、「入学直後は離れて暮らす寂しさからか、毎日のように電話がかかってくるが、1~2カ月過ぎると電話がかかってこなくなる」という悩みを打ち明けられる。

 そこで、保護者が参加し、学生を大学と一緒に育てる目的で「保護者ポータル」が誕生した。例えば、学生が2週間連続で休むと修学アドバイザーが面談をするが、そうした情報を保護者が確認できるようにしている。

「過剰な取り組みでは」と眉をひそめる意見があるかもしれない。しかし、出席や成績だけではなく、インターンシップの情報までを共有することで、親子で話をするきっかけになっており、保護者からは好評だ。

「日本の産業力を日本で育てた人材で強化し、世界に打ち勝っていくためには、若い人たちの力を使う必要がある。次の世代で本当に伸びる人たちをどのように教育するか、を常に考えている」。大澤学長の言葉に、地方大学だから、という遠慮は感じない。