孤独を抱えた人はどこへ向かうのか…“居場所”を求める心が導く意外な行き先写真はイメージです Photo:PIXTA

ポストコミュニティを研究する真鍋厚氏は、新興宗教やオンラインサロンなど、現代に生まれる多様なコミュニティを分析してきた。そこに属する人々は、人とのつながりを求めて選択をする。その先にたどり着いた居場所とは?※本稿は、評論家、著述家の真鍋 厚『令和ひとりカルト最前線 サバイバリズム時代の生存戦略』(現代書館)の一部を抜粋・編集したものです。

安倍元首相暗殺事件に見る
宗教二世が抱える苦悩

 安倍晋三元首相の暗殺事件をきっかけにして、旧統一教会と癒着が疑われる自民党議員に対するバッシングが拡大した。

 暗殺事件の首謀者である山上徹也容疑者の半生はショッキングなものだったが、彼の母親の半生もそれを上回るショッキングなものであった。

 山上容疑者の伯父へのインタビューで浮き彫りになったのは、山上容疑者の母親のA子が「何かにすがらないと自分を保てないような現実があった」ことであり、それは直接的には夫の自殺や自身の母の急死が相次いだことであった。

 そして、記者の「A子さんが統一教会を脱会する日はくるのでしょうか」との質問に対し、伯父は「それはないやろう。それに、洗脳が解けたら逆にかわいそうや。生きていくうえでの拠り所を失うことになるから。70歳になる人間の拠り所を奪うようなことは、せんほうがいい」と返答していることがすべてを物語っていた(注1)。

(注1)野中大樹/井艸恵美“統一教会からの「返金終了」が山上家貧窮の決定打 兄の自死が再起を図る徹也の希望を打ち砕いた”東洋経済オンライン(2022年9月10日)https://toyokeizai.net/articles/-/616938?page=4