フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

ジムニーシエラから車重は約100kg増えたのに、馬力は1つも増えていないジムニーノマド。ならば単純にターボを積めばいい。誰もがそう考えるはずだ。実際、高速道路の追い越し加速では「もう一声」欲しくなるし、富士の急坂でもその印象は変わらなかった。だがスズキはあえてその道を選ばなかった……ジムニーノマドには、ターボ化の他にもいくつか「選ばなかったもの」がある。開発陣にそこを問うと、禅問答のような答えが返ってきた。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)

 みなさまごきげんよう。
 フェルディナント・ヤマグチでございます。
 今週も明るく楽しくヨタ話から……といきたいところですが、今月からヨタ話は本編後に掲載しています。今回のヨタは、千葉へBBQに行った話です。皆さま、本編だけでなくヨタも読んでくださいね(はぁと)。前回に続き、ジムニーノマド開発者へのインタビューをお送りします。

シエラから100kg増、約1割の重量増をどう捉えるか

 悪路走破性に定評のある3ドアの軽自動車が「ジムニー」。そのボディをそのまま普通車枠へ拡幅したのが「ジムニーシエラ」。そしてシエラをベースに後席ドアを追加し、5ドアに仕立てたのが、今回の主役「ジムニーノマド」である。

ジムニーノマド、ジムニー、ジムニーシエラ左からジムニーノマド、ジムニー、ジムニーシエラ(公式サイトより)

 インタビュー前編では、ジムニーノマドが後席ドアを手に入れるためにホイールベースを340mm延長し、ラダーフレームに新たな補強まで加えたことをお伝えした。車体が長くなり、後席への乗り降りは格段にラクになった。4人が乗った状態でも、荷物を積めるようになった。その「代償」が100kgの重量増である。

 シエラの車重はおよそ1.1トン。率にすれば約9%、ほぼ1割増だ。1割増。決して小さな数字ではない。しかもノマドは、「軽さこそが正義」とされるジムニー一家の一員である。ところがエンジンは、シエラとまったく同じ1.5L自然吸気。特段のチューニングは施されず、最高出力も最大トルクも変わらない。

 車重はほぼ1割増えたのに、力は1馬力たりとも増えていないのである。これはどうしたことだろう。

 実際、高速道路で追い越し加速の際には「もう一声」と感じた。富士ヶ嶺オフロードコースの急坂でもその印象は変わらない。モアパワー。あと少し。ジムニー開発陣には誠に申し訳ないが、これが偽らざる感想である。