ソニーのタムロン買収提案で意外にも見えてきた、エレキ事業への並々ならぬ思いカメラの総合展示会「CP+2024」でのタムロンのブース。同社の製品には根強いファンが多い Photo:JIJI=EPA

ソニーがなぜタムロンを買収?
意外と深い両社の関係とは

 ソニーがタムロンに買収を提案しているという話が話題となっている。カメラ好きの人には良く知られたタムロンだが、一般の方にはそれほど知られていないかもしれない。タムロンは、ミラーレス一眼カメラなどレンズ交換式カメラのレンズだけを製造販売するレンズ専業の世界的メーカーだ。現在、タムロンでは、ソニーのEマウント、ニコンのZマウント向けのレンズを作っている。すでにソニーの資本も入っており、ソニー向けレンズ開発・製造でも関係が深く、自社ブランドのレンズも世界的に知られている。

 レンズ交換式カメラのレンズは、インクジェットプリンタのインク同様、メーカーによって規格が異なり、それぞれのメーカー間の製品に互換性がない。これは、ネットワーク外部性(ネットワーク効果)が働く市場では、自社規格の製品が広がれば広がるだけ製品価値が高まるため、自社規格で顧客を囲い込もうとする戦略だ。

 現在のミラーレス一眼では、レンズのマウント(取り付けの仕組み)がメーカーによって異なり、キヤノンのRFマウント、ソニーのEマウント、ニコンのZマウントが上位3位メーカーの有名な規格で、その他、富士フイルムのXマウントやパナソニック、ライカのLマウントなどもある。こうした中で、タムロンはソニーのミラーレス一眼カメラαシリーズで使うことができるEマウントと、ニコンで使えるZマウントを開発製造している。

 最近のソニーの投資は、多くがエンタテインメントや半導体向けで、BtoCのエレクトロニクス事業は力が入っていないようにも見えるため、意外に思う読者も少なくないだろう。ただし、ソニーの発言を見ていると「エンタテインメントの入り口と出口の技術はこれからも大切にする」と言っている。