「人生の意味とは?」。その答えを求めて、世界中の人々に手紙を送ったジェームズ・ベイリー氏。冒険家や科学者、経営者などから届いた答えをまとめたのが『人生の意味――世界のあらゆる一流に教えてもらった105の答え』だ。そこで見えてきた意外なこととは? 緊急来日したベイリー氏に聞いた。(構成:田中裕子、写真:山口真由子)
ジェームズ・ベイリー氏
お金はどれくらい大事か?
――100人以上から「人生の意味」についての手紙を受け取り、もっとも意外だったことはなんですか?
ジェームズ・ベイリー氏(以下、ベイリー):驚いたのは、お金や仕事、成功について語る人がほとんどいなかったことです。
実は手紙を書いた当時、私はもっとキャリアに関する答えが返ってくると期待していました。大学を卒業したものの社会に出るきっかけをつかめずにいた時期だったので、仕事との向き合い方や働くことについての考えを聞ければ、なにかしらのヒントが得られるのではないかと思っていたのです。
実際、社会的に成功した人たちの考えを幅広く知るために、職業やキャリアも考慮しながら手紙を送る相手を選びました。
ところが、届いた手紙を読むと、仕事やキャリアの大切さについてはほとんど触れられていませんでした。仕事に誇りや使命感を持っている人はいましたが、少なくとも「人生において成功をおさめることがどれほど重要か、そのためになにをすべきか」ということは語られていなかったのです。
私たちは、つい職業のイメージでその人を捉え、それが本人にとっても重要な要素だと思ってしまいます。しかし実際には、彼らにとって仕事は人生の一部分で「ただの仕事」にすぎなかった。家族や友人の存在、あるいは朝に飲む1杯の紅茶のほうが、ずっと大切だったわけです。
正直に言えば、20代前半の私は「仕事で大成功しているからこそ、お金がそれほど重要ではないと言えるのではないか?」と疑ってもいました。
でも今は、そうではないと確信しています。
「人生の意味」は年齢と共に変わる
とはいえ、手紙には「仕事より愛が大切」と書いていた人も、若い頃には成功や名声をめざして野心を持ち、仕事を最優先に生きていたことがあるかもしれません。ただ、年齢や経験、出会いを重ねるにつれて考え方が変わり、仕事は人生の意味にはなりえないと気づいたのでしょう。
――人生の中で、価値観は変わっていくものなのですね。
ベイリー:ええ。たとえば心理療法士のジョシュア・フレッチャーは、「経験や内省を通じて変化し続ける自分の価値観に沿って生きることは、充足をくれます」と語っています。
環境NPO創設者のリリー・カーは「(人生の意味は)人生の思いがけない浮き沈みを経験するうちに変化するもの」と語っています。
私自身、20代の前半に大切にしていたことが、34歳になった今ではそれほど重要なことではなくなっています。
人生の意味は人によって異なるだけでなく、一人の人間の中でも生涯を通じて変化していくわけです。人生のどの段階にいるか、誰といるか、どの立場にいるかによって、大切に感じるものも変わっていく。
この本も、時間を置いて読み返してみることで、心に響く言葉や人生の指針となる箇所が変化していることに気づけるはずです。たとえば私に新しい家族ができれば、その存在の大切さについて書かれた言葉を今より切実に受け止めるようになるでしょう。
ですから本書も、ぜひ売らずにずっと手元に置いていただければと思います(笑)。トイレに置いて、折に触れて読み返すのもいいかもしれませんね。








