フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える

「バッテリーが燃える」「水に浸かったら感電する」「腹をこすったら一発アウト」「情報を中国に抜かれる」等々……BYDの軽EV「ラッコ」について書くと、SNSは決まって荒れる。ならばその炎上ネタを、そのまま日本法人の社長にぶつけてみたらどうか。最低地上高は結局何ミリなのか、バッテリーは本当にむき出しなのか、そして「金をもらって書いている」のか?皆さんが気になるであろう、あんなことやこんなことを、東福寺厚樹社長にズケズケと質問してきました。なお今回も、ヨタ話は本編のあとに掲載しています。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)

日本法人の社長が反対したのに、中国トップがラッコ開発を決めた

 前回書いた通り、BYD Auto Japanの東福寺厚樹代表取締役社長は同社の軽参入に反対した人物である。

 2021年に入社してすぐ「BYDで軽を製造販売することについてどう思うか」と聞かれ、「厳しいからやめておいた方が良い」と率直に答えた。販売網はまだ厚いとは言い難く、ガラパゴス化した日本専用車では他の国での展開も期待できない。どうせなら世界で確実に売れる小型車を造った方がよほど効率的だ。至極まっとうな意見だった。

 ところが王伝福総裁は、来日した際に宿泊先のホテルの駐車場に停まる軽を撫で回し、街に溢れる軽の多さに驚愕し、さらには日本法人の社員が個人所有する日産の軽EVサクラを乗り回して、「やはり日本に軽は必要だろう」と確信を深めた。そして東福寺さんの意見をソデにして、軽参入を決めてしまった。

 軽に反対した当人がそのクルマを売る陣頭指揮を取り、いまこうして軽のインタビューにも答えている。何ともシュールな光景ではないか。

日本市場専用に開発された軽EV「BYD RACCO(ラッコ)」日本市場専用に開発された軽EV「BYD RACCO(ラッコ)」