ベテランになり、長年の経験で指示を出す50代管理職。しかし、現場の部下たちからの信頼が一瞬で崩れ去るケースが後を絶ちません。その最大の原因は、自分の責任を棚に上げて保身に走る姿勢です。人間の行動原理を理解していないリーダーは、自分の立場を守るために無意識に「感情」で反応し、職場の信頼を根底から失ってしまう。この記事では、書籍『リーダーの仮面』のエッセンスをもとに、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

50代になって、一瞬で信頼を失う上司の特徴Photo: Adobe Stock

感情で動き、保身に走るベテラン

 50代の管理職になり、豊富な実績や社歴があるからこそ、「部下から尊敬されたい」「失敗してバカにされたくない」という自尊心が強く働くことがあります。

 そのため、部下から不都合な報告を受けた際や、上層部からの厳しい指示を伝達する場面で、つい感情的になって部下を責めたり、「自分は悪くないのだが、上がそう言っている」と言い訳を添えて逃げようとします。

 しかし、部下は上司のその「保身の空気」を一瞬で見抜きます。

 自分の立場を守るために言葉を濁し、毅然とした指示が出せない上司に対して、部下は警戒心を高め、本音の報告を控えるようになります。

 結果として、組織は形骸化し、上司の信頼は一瞬で地に落ちるのです。

「感情」を脇に置く覚悟

『リーダーの仮面』という本では、リーダーが個人的な感情を切り離す重要性について、次のように書きました。

人間関係の衝突をなくす盾となり、他人からの攻撃を受け流してくれます。
リーダーの仮面をかぶって仕事を進めて、人から嫌われたとしても、それはあなたの人格が否定されたわけではありません。
いちいち落ち込む必要などないのです。
――『リーダーの仮面』より

 50代上司が失うことを恐れている「信頼」や「人気」は、部下に媚びたり自分を守ろうとしたりすることで得られるものではありません。

 むしろ、自分の感情や自尊心を横に置き、組織のルールと結果に向き合って指示を出す姿にこそ、部下は「この上司はブレない」という安心感を抱くのです。

「仮面」をかぶり、責任を淡々と果たす

 部下からの好悪や「自分がどう思われるか」にイライラしたりビクビクしたりするのは、リーダーとしての役割から逸脱している証拠です。

 50代の管理職こそ、個人的な素顔を隠し、「リーダーの仮面」をかぶる必要があります。

 自分が決めた責任から逃げず、部下に明確な指示とルールを与え、結果を淡々と評価する。

 感情を交えない無機質なまでの責任感が、結果として部下を安心して走らせ、50代としての本物の信頼を勝ち取る唯一の道なのです。