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「勇気を持って踏み出そう」「仲間を信じよう」……人が大切にしてきた真理は、驚くほどシンプルで、決して目新しいものではない。それなのに、同じ言葉が空虚なものに聞こえることもあれば、人の心を震わせるほどの力を持つこともある。その“違い”に迫る。※本稿は、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長の伊藤羊一『語りの牙 論理と感情をつなぎ、確実に刺す全技術』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
偉人たちのシンプルな言葉に
大きな衝撃を受けた理由
最近、哲学の古典やソクラテスの対話編を読み直したときに衝撃を受けました。
「自分が悩み抜き、七転八倒した末にようやく辿り着いた結論が、数千年前の賢者が言っていることと一言一句違わないじゃないか!」と。
物事の真理や、人が幸せに生きるための本質は、驚くほどシンプルです。
「嘘をついてはいけない」「勇気を持って踏み出そう」「仲間を信じよう」
こうした結論そのものに、目新しさはありません。人間が求める真理の本質に近づけば近づくほど、それは普遍性を増すはずなので、至極当然のことでしょう。
現代のビジネスシーンで語られるどんなに洗練された戦略も、突き詰めていけば、人類が太古から繰り返してきた普遍的な真理に収斂されていきます。
では、なぜ同じ「一歩踏み出そう」という言葉が、ある人の口から出ると空虚なスローガンに響き、ある人の口から出ると、聞く人を震わすほどの熱量を帯びるのでしょうか。
その決定的な違いを生む正体こそが、「話者自身の生き様」というフィルターなのです。







