Photo:Bloomberg/gettyimages
安価で高性能な中国のオープンウエート人工知能(AI)モデルが次々に登場し、AIブームに沸く投資家を不安にさせている。しかし、テック業界の大部分にとっては、見た目ほど心配する必要はない。
モデルの挙動を制御する「パラメーター」を公開するオープンウエートモデルの急速な進歩が、クローズドモデル開発企業にとって懸念材料であるのは確かだ。これらの企業はモデルの動作方法を変更することは認めておらず、ユーザーの質問に対する応答をより厳密に管理している。
この分野のリーダーである米AI新興企業のオープンAIとアンソロピックはいずれも、今後数カ月以内に新規株式公開(IPO)を行う計画だ。競争優位性の持続性に疑問が生じれば、投資家への訴求力が低下しかねない。
米グーグルも、失うものが大きいクローズドモデル開発企業の一つだ。同社のAIモデル「ジェミニ」はここ数カ月で、最先端の性能面でやや後れをとっており、より高性能かつ安価なオープンウエートモデルに顧客を奪われる恐れがある。
そうした影響が懸念される中、中国の月之暗面(ムーンショットAI)が先月、オープンウエートモデル「Kimi K3」を発表すると、グーグルの親会社 アルファベット の株価はその後の数日間で10%下落した。 マイクロソフト やアマゾン・ドット・コムといった米AIインフラ大手の株価も下げた。
Kimi K3は一部の主要クローズドウエートモデルと同等かそれ以上の性能を発揮し、利用料ははるかに安く設定されていた。中国ではこの夏、テック大手のアリババグループ、新興企業の北京智譜華章科技(Z.ai)や 稀宇科技(ミニマックス) などからも、高い性能と効率性を備えたモデルが登場している。
これにより、AIにおける米国の主導的地位や、テック大手のAIインフラへの飽くなき支出に対する懸念が高まっている。中国企業がオープンウエートモデルを使って、より優れた最先端AIをより効率的に構築できるのであれば、データセンターや半導体に莫大(ばくだい)な資金を投じるという計画は見直しを迫られるかもしれない、との見立てだ。
しかし、オープンウエートモデルが普及した場合、逆のことが起きる可能性も同様にある。AIの導入コストが大幅に低下すれば、19世紀の経済学者の名にちなんだ「ジェボンズのパラドックス」が働く可能性が高い。つまり、コストが下がったことで人々の利用が増え、結果として以前と同等かそれ以上のコンピューティングパワー(計算能力)を消費してしまう状況になりかねないのだ。
これこそが、半導体企業がオープンウエートモデルをおおむね歓迎している理由の一つだ。ナスダックに上場しているAI半導体メーカー、 セレブラス・システムズ のアンドリュー・フェルドマン最高経営責任者(CEO)は、オープン型とクローズ型が互いに競い合うことは消費者に恩恵をもたらすが、半導体需要を損なうことはないと述べた。「オープンソースモデルが登場しても半導体株が下落する理由はない」







