協奏の賭け アクティビストは敵か味方か#3Photo by Ryuta Hayashi

アクティビストのアクシウム・キャピタルが、車載用スピーカーで世界シェアトップの音響機器メーカー、フォスター電機と共同で同社の中期経営計画の策定を進めている。株主提案で役員の総入れ替えも辞さない武闘派のアクティビストはなぜ社外取締役に就き、経営に参画したのか。特集『協奏の賭け アクティビストは敵か味方か』の本稿では、同ファンドの最高経営責任者(CEO)の門田泰人氏に、フォスター電機と共闘体制を築いた狙いを直撃した。日本企業への投資に対する考え方に加え、資本市場におけるアクティビストの役割を自らどう捉えているのかについても単刀直入に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)

割安な「優良銘柄」に着目
株主の立場を超えて経営へ

――フォスター電機の約25%(議決権ベース)の株式を保有しています。同社に投資を決めた理由は。

 資本市場から十分に評価されていない、割安な優良銘柄だと考え、投資をスタートしました。フォスター電機は米テクノロジー大手向けの有線イヤホン事業から撤退した際に損失を出し、その後、車載スピーカーを強化してきました。

(業績が)一度大きく落ち込んだ後に回復したため、株式市場からは、収益の振れが大きく、また落ち込むのではないかとみられていたのでしょう。株価は割安な状況にありました。同社を分析すると、損失は一時的なもので、車載事業は着実に積み上がっていました。

――アクシウム・キャピタルは株主としてだけでなく、自身が社外取締役に就きました。他にも多くの会社に投資する中、なぜフォスター電機の経営に参画することにしたのですか。

 われわれは上場株に投資するファンドです。全ての投資先への経営参画は考えていませんし、リソース面でも難しいです。株主として経営陣と対話し、もっと業績を改善できないか、同業他社と比べて他にできることはないかと問いかける。それを繰り返すことで、経営陣自身に戦略を磨いてもらうことが基本です。

(株主提案で役員を総入れ替えし、2025年6月に社長に就任した)東京コスモス電機では、当時の経営陣に具体的な経営方針そのものがないという課題があり、ある意味では「非常事態」として経営の立て直しに入りました。

 フォスター電機は全く違います。岸和宏社長との対話を重ねる中で、われわれも中に入り、会社や業界の情報を共有しながら一緒に考えるのもいいのではないかと、自然に話が進んでいきました。

――フォスター電機の経営体制については、どう評価していますか。

 前の社長が会長や相談役として残り、今の社長がやりたいことを進めにくいような会社ではありません。岸社長がこうすると決めれば、かなりスピード感を持って動ける。岸社長自身もエネルギッシュでカリスマ性があります。改善や変化を進めやすい経営体制だとみていました。

――フォスター電機の足元の業績は堅調です。さらに成長させるため、どこに課題があるとみていますか。

フォスター電機は車載スピーカーで世界のシェアトップを握る。新型コロナウイルス感染拡大期には営業赤字に陥ったものの、足元の業績は堅調だ。アクティビストとして経営に入り、具体的に何を変えようとしているのか。次ページでは、門田氏にフォスター電機で進めるべき改革や事業戦略の方向性について語ってもらった。また、日本企業に投資する理由に加え、アクティビストの存在意義をどう考えているのかについても直撃した。