ホワイトハウス・イーストルームで開催された国賓晩餐会で、中国の習近平国家主席を出迎えるドナルド・トランプ米大統領 Photo:Kevin Dietsch/gettyimages
「トランプ外交の失敗」は本当か?
中国の習近平国家主席は国賓としてアメリカを訪れ、トランプ大統領は最大級の歓迎で迎えた。だが、台湾、イラン、AI、レアアースなどの重要項目では、目立った合意は発表されなかった。
米中は、2025年10月から続く貿易休戦を2カ月延長することで合意している。中国はフェンタニルの原料となる化学物質への規制強化などにも応じた。だが、世界の二大大国の首脳による三日間の訪問を経た結果としては、いかにもお粗末である。
そのため、アメリカ国内でも「華やかな演出の割に実質がない」という批判が出ており、日本でも「トランプ外交の失敗」「中国に譲歩した」といった批判的論調が目につく。
だが、私はそうは考えていない。そもそもトランプ氏は今回、大きな合意を成立させることを目的にしていなかったのではないか。また、習氏を異例なまでに厚遇したことも、中国への譲歩ではなく、むしろ今後の交渉のための「貸し」を作る計算だったと考える。
トランプが選んだ「関係を壊さない」外交
今回の会談では、最初から大きな突破口は期待されていなかった。
ロイターも会談前、米中双方が最優先しているのは新たな大型合意ではなく、2025年以来の貿易休戦を維持し、米中関係を安定させることだと報じていた。台湾やイランなどでは立場の隔たりが大きく、首脳会談一回で解決できるような状況ではなかった。
実際、ホワイトハウスが会談後に発表したファクトシートを見ると、中国によるフェンタニル関連化学物質の規制、米国法執行機関の情報に基づく中国人21人の逮捕など、小粒で実務的な内容が中心だった。







