アンソロピックのアモデイCEOとオープンAIのアルトマンCEOアンソロピックのアモデイCEOとオープンAIのアルトマンCEO Photo:Jason Henry/WSJ; John MacDougall/Getty Images

 それはサイバーセキュリティー界の「ジュラシック・パーク」とも言える出来事だった。

 4月以降、人工知能(AI)開発の米オープンAIと米アンソロピックがハッキング目的で開発したAIモデルが相次いで社内のテスト環境から抜け出し、無防備な企業に対して前例のないサイバー攻撃を仕掛けた。

 これらのモデルは最先端の自律型ハッキングマシンだった。オープンAIがAI関連企業ハギングフェイスに対して7月に行われた自社のハッキング行為を開示するまで、両社とも自社モデルの脱出に気づいていなかった。テスト記録を確認したアンソロピックは30日、3件のハッキングを発見したと発表した。

 両社の開示は連邦議員たちの間に動揺を引き起こし、一部の議員は新たな規制やテスト体制が必要だと主張した。両社の一部従業員にとっても、目を見張るような出来事だった。

「これは私が非常に直感的に危機感を覚えた初めてのセキュリティー事案だ。これほど直感的に危機感を覚えている人が少ないことに少し驚いている」。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)はポッドキャスト番組でこう述べ、自社のハッキングを「極めてSF的なサイバー事案」と表現した。

 サイバーセキュリティーの専門家にとってこの問題は、AIの能力が高まり、懸念すべき理由が増していることを示している。AIの安全性の専門家にとっては、これまで一貫して警告してきたことが証明された形だ。AIシステムは現実世界に害をもたらし、自身を制御しようとする試みをかわすだろうと彼らは警告していた。