東電HDの資本提携交渉が難航、9月末のデューデリジェンス期限に間に合わず…混迷する各者の思惑と裏事情Photo:Takashi Aoyama/gettyimages

東京電力ホールディングス(HD)の資本提携を巡り、当初2026年9月30日としていたデューデリジェンス期限に間に合わず、作業が越年する可能性があることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。巨額の成長投資資金を呼び込むために打ち出された外部資本の受け入れは、年間5000億円規模に上る事故処理費用の負担期間が確定できないという構造的難題に直面している。長期連載『エネルギー動乱』内の特集『東電分解』の#1では、水面下で進められた交渉が期限内に決着しなかった真相と、東電HD、経済産業省、財務省が抱える思惑の乖離を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 鈴木文也)

デューデリジェンス期限に間に合わず
年5000億円の事故処理費が障壁に

 東京電力ホールディングス(HD)は2026年1月に中期経営計画に相当する第5次総合特別事業計画(第5次総特)の認定を受け、外部資本の受け入れを表明していた。

 第5次総特において「期限を区切った提案募集(3月31日締め切り)」は明記されているものの、資本提携前の調査を行うデューデリジェンス(DD)期限を「9月30日」と対外公表しているわけではない。だが、水面下では9月末を一つのめどとして作業が進められていた。その期限に間に合わない見込みであることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 下表が福島第一原子力発電所事故の発生から現在に至るまでの主な経過だ。

 26年3月に募集を締め切るまでに関西電力など数十社の申し込みがあり、ソフトバンク、日本産業パートナーズ(JIP)のほか米ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)やブラックストーン、ブラックロック傘下企業の5陣営まで絞られている。

 複数の関係者によると、ソフトバンクが最有力候補となっており、既にDDを実施中だが、そこから話は進んでいない。

「募集締め切りから半年というのはタイト」という声も上がるが、期限に間に合わなかったのは計画設定の甘さだけでなく、福島第一原発の事故処理費用の負担という、事故直後から棚上げされてきた構造的課題を解決できていないことが最大の原因だ。

 事故処理費用は廃炉・賠償・除染で計23兆4000億円がかかると試算されている。そのうち東電HDは約17兆円を負担することとなっており、年間5000億円程度の資金確保が必要とされている。アライアンス相手がこの費用負担に懸念を示すのは当然だ。

 ただ、アライアンスを主導するキーマンは費用負担について、もう一歩踏み込んだ発言をしている。

 次ページでは、アライアンスによる組織再編案とともに交渉が遅々として進まない原因と、交渉を取り巻く各組織の思惑を明らかにする。