また、強い痛みを感じると「脳内麻薬」と呼ばれる物質(β-エンドルフィン)が分泌され、苦痛をやわらげてくれるという学説もあります。ランナーズ・ハイ(長距離走行中の一時的な高揚感)もこのメカニズムで起こります。
自傷行為をやめられない子どもたちは、死にたいほどの心の痛みに耐えるため、「脳内麻薬」という名の鎮痛剤を自ら処方しているとも言えるのではないでしょうか。
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自傷は自殺目的でなくても
「死への迂回路」になる
先ほど「自傷の目的は自殺ではない」と言いましたが、「自傷する子は自殺しない」と言っているわけではありません。自傷と自殺は壁一枚で隣り合った存在で、自傷する子どもの自殺率はそうでない子どもよりはるかに高いのです。
自傷で心がラクになるのは、あくまで一時しのぎにすぎません。根本にある問題は解決していませんから、自傷への依存度は高まります。繰り返すうちに痛みにも慣れてしまい、切り方はエスカレートしていきます。「切ってもつらいけれど、切らないともっとつらい」という状況になり、信じられないほどザクザクと自分の体を切りつけることもあります。自傷と並行してオーバードーズや飲酒、なかには違法薬物に手を出す子もいます。
そこまで来てしまうと、周囲も気づき始めます。「あの子はリスカしているらしい」とうわさになりますし、親に叱られたり泣かれたりして精神的に追い詰められることになります。もともと抱えていた悩みそのものは変わっていないどころか、時間がたつことでより過酷な状況になっている場合もあります。「死にたい」「消えたい」という思いは深刻化し、生きるためだったはずの自傷がリアルな死を手繰り寄せてしまうのです。自傷行為は「死への迂回路」。けっして軽く考えてはいけません。
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