2024年入試対応!わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校#11Photo:PIXTA

急増する民間学童保育施設。3月には、やる気スイッチグループやウィズダムアカデミーなどが参画する初の業界団体が発足した。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校』(全29回)の#11では、「民間学童保育協会」の設立代表理事の遠藤奈央子氏に民間学童の選び方を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

一般社団法人「民間学童保育協会」
遠藤奈央子・設立代表理事インタビュー

――民間学童保育の業界団体、民間学童保育協会が創設されました。これまで業界団体が存在しなかったことが意外ですが、なぜ今、設立に至ったのでしょうか?

 まず前提として整理しておきたいのですが、ここで述べる「民間学童」は、私たちのような企業などが設立し、かつ運営するという「民設民営」の施設を指します。一方、東京都内でも増えている、自治体が設立し、企業などが運営する「公設民営」の学童も昨今は民間学童と称されることが多く、混同されがちです。

 日本には現在、民間学童という産業分類のカテゴリーさえない状況で、「サービス業」の一つという位置付けです。片や、共働き世帯の増加と、子どもに有意義な放課後を過ごさせたいという保護者のニーズの高まりに比例して、民間学童の市場規模は急拡大しています。2019年ごろから民間学童サイドが「保育園の年少クラスから予約しないと入れません」という状況で、現在の民間学童の数は全国でおよそ900法人、2200施設まで増えています。

 しかし、これまで民間学童市場には業界を取りまとめる団体が存在せず、業界として国や社会とのコミュニケーションが図れていませんでした。例えば小学校から民間学童への車による送迎など、学校との連携が不可欠な課題が多いにもかかわらず、民間の一施設が学校側とコミュニケーションを図ろうとしても高いハードルがあります。加えて、施設が急増するにつれて懸念される問題事業者への対処など、業界としての利用者保護施策も求められていることなどが設立の理由です。

――民間学童でスタッフによる虐待などの不祥事が起きていますか?

 先ほどの民設民営と公設民営の違いに関係するのですが、公費が入っていない民間学童の場合、一回でも不祥事があれば運営が立ち行かなくなるため、まず聞いたことがありません。

 スタッフによる子どもへの虐待や暴言などの事例は、運営費に公費が使われる公設民営の学童の方で耳にします。もちろん学区や学校によって運営企業が異なりますから、公設民営でも評判が良い施設はあります。子どもが通うであろう公設民営の評判が良いのであれば選択肢に入りますが、「違うかな」と思った場合、予算に応じて民設と公設の併用を考えた方がいいでしょう。

遠藤奈央子氏えんどう・なおこ/株式会社ビジョンゲート代表取締役。一般社団法人学童ナビ研究所理事長。2011年、民間学童保育「こどもクリエ塾」設立。直接指導した子どもは延べ1800人を超える。著書に『「民間学童」のつくり方・運営の仕方』(日本実業出版社)など。

 ただし、公設民営は空きが出ない状況なので、民設と併用できるような経済状況の家庭の子どもを入れないところもあります。なので、併用の際にまず確認すべきことは、公設の利用条件です。例えば週3日以上通わなければならない条件なら、残り2日を民設に通わせるとか。そのため次年度以降に向けて利用実績を残すべく、公設に10分だけ通ってから民設に移動する子どももいますね。

――次に民設民営の民間学童を選ぶポイントを教えてください。英語教育や探究型学習など、多種多様な付加サービスを展開する事業者が増えていますが、特に子どもの中高一貫校の受験を考える保護者が重視すべき点はありますか?

 民間学童を選ぶ際、学びの充実度を最優先する家庭が少なくないですが、あまり良い決め方とはいえません。

次ページでは、後悔しないための民間学童の選び方のポイントと共に、中学受験を阻む「小4の壁」の突破に向けた民間学童の活用法を伝授してもらう。