預金通帳を見て落ち込む人写真はイメージです Photo:PIXTA

マンションの大規模修繕で40社もの業者が絡む「談合」が発覚しました。毎月の家計を直撃し、将来の資産価値にも数百万円の悪影響を及ぼす管理費と修繕積立金。しかし、素人にはその金額が適正か見抜けないのが実態です。悪質な業者に搾取されず、毎月のマンション維持費が適正範囲かを見極める「簡単なチェック方法」を解説します。(スタイルアクト代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

大規模修繕に潜む「談合」
資産価値が下落することも

 マンションを購入すると、毎月のローン返済に加えて、管理費と修繕積立金が必ずかかってくる。人件費の高騰から管理費は新築ほど高くなり、修繕積立金は築古ほど高くなる傾向にある。

 月々の支払額なので、家計に直撃するし、これが高いと資産価値を落とすことになりかねない。なぜなら、住宅ローンを含めた月支払額が高い分、売却価格が低く抑えられるからだ。月1万円の違いでも35年(420カ月)の住宅ローンに見立てると420万円の差になる。つまり、相場より1万円高いとマンションの売却価格は420万円の下押し圧力がかかるということだ。

 そんな管理費も修繕積立金もそれぞれに問題がある。

 新築の管理費は年々上昇しているが、中古マンションでは新築時から据え置かれているケースも多い。管理会社と管理組合(入居者)との折り合いがつかず、管理会社が赤字となり、契約を打ち切るケースが増えている。これは供給大手7社の「メジャー7」のグループ管理会社でも複数社が大胆な切り離しを行っている。

 また、新築においては区分所有者以外の第三者が管理者となる「第三者管理方式」が近年急速に普及し始めている。その要因は共働き世帯の増加などにより、管理組合の理事のなり手不足が深刻化し、従来の理事会運営が難しくなっているためである。入居者の時間的な負担は軽くなるが、第三者の意思決定は身銭感覚を失うためにコスト負担が大きくなる懸念は尽きない。

 一方、マンションの大規模修繕では、複数社が事前に受注予定者や見積価格を示し合わせる談合が長年行われてきた。このため、公正取引委員会が独占禁止法違反として立入検査や排除措置・課徴金命令を出す方針を固め、国土交通省も違約金特約や発注指針の整備などで再発防止を進めている。

 大規模修繕は管理組合側では相場を把握しづらく、談合が発覚しにくい構造になっており、上記の談合も狡猾に長年行われてきたのが実態である。そもそも大規模修繕は法律で「何年ごとに必ず行わなければならない」と義務づけられているわけではない。建物の資産価値を保ち、人命の安全を守るために適切に行うものであるが、この「適切」が専門家以外分からないため、このようなことが横行する。

 また、修繕積立金は新築時に低く抑えられ、入居後積立金不足が発覚することが多い。これは新築を販売するにあたって毎月の費用を抑えて、購入可能額を増やすことを目的としている。冒頭の価格下押し圧力の逆のことをデベロッパーはやっていることになる。

 この様に管理費も修繕積立金も課題は山積しているがゆえに、購入者が物件を選ぶ際に最後にもやもやするのが、このコストが適正なのかという疑問である。入居者側からするとコスパが悪くなければ購入をためらうものではないが、ファミリータイプでは既に月合計3万円を超える物件が多く、無視できなくなっている。

 そこで、管理費と修繕積立金が適性な範囲か確認する方法を提示したい。