スタンダード市場指数は5.9%の上昇
グロース市場指数は5.0%の上昇にとどまる

 東証には、プライム、スタンダード、グロースという三つの市場区分がある。

 また、TOPIXとは別に、スタンダード市場とグロース市場の上場銘柄をそれぞれ対象とする市場別指数が公表されている。

 2025年末から26年6月末までの指数の動きを見ると、次のようになっている。

 この表から、TOPIXの上昇率が約12%なのに対して、スタンダード市場指数とグロース市場指数の上昇率は、それぞれ、約5.9%と約5.0%にとどまっていることが分かる。三つの指数の動きには、かなり大きな差がある。

 プライム市場には、海外で事業を展開する大企業が多い。これに対して、スタンダード市場には中堅企業が多く、グロース市場には新興企業や成長途上の企業が多い。

 ただし、スタンダード市場やグロース市場の上場企業を、すべて中小企業と見なすことはできない。市場区分は、資本金や従業員数だけで決まるものではなく、流通株式時価総額、流動性、企業統治、成長可能性などに関する上場基準によって分けられている。

 したがって、この表から直接いえるのは、大企業が多い市場の株価上昇率が、それ以外の市場を上回ったということだ。

 プライム市場の大企業には、半導体製造装置、電線、電子部品など、AI関連需要の恩恵を受ける企業が多い。そのためAI・半導体関連株の上昇が、日経平均株価ほどではないにしても、TOPIXを押し上げた可能性は高い。

 それに対して、スタンダード市場やグロース市場では、そうした現象が見られない。これは、スタンダード市場やグロース市場に含まれる企業では、AIブームが起こっていないことを示すのではないだろうか?

 もちろん、三つの市場の上昇率の差を、すべてAIブームの有無で説明することはできない。したがって、「スタンダード市場やグロース市場ではAIブームの影響がない」と断定するのは適切ではないだろう。正確には、AI関連銘柄の上昇が、これらの市場全体の指数には強く表れていないということだ。

 市場別の株価格差は、企業規模による利益動向の違いで説明できるのだろうか?

 財務省の法人企業統計で、同じ企業を前年同期と比較する「継続標本」による資本金階層別の経常利益を見ると、「資本金の大きい企業ほど利益の伸び率が高い」とは、必ずしもいえない。

 しかも、法人企業統計の対象企業と株価指数の構成企業は同じではない。非上場企業には株価が存在しないため、企業業績の統計と上場企業の株価指数を直接対応させることには限界がある。

 したがって、企業規模による利益格差だけでも、市場別の株価動向を十分に説明することはできない。

 株価は現在の利益だけで決まるものではなく、将来の売り上げや利益、金利、為替、競争力、投資家の期待などを先取りして変動するのだ。