メールを返しながら資料を作り、チャットが届いたらすぐに返信する。複数の仕事を同時にさばいていると、「今日はかなり仕事をしている」という感覚になります。しかし、一日が終わってみると、意外と仕事が進んでいない。そんな経験はないでしょうか。書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』から、仕事ができる人が実践している「集中」のコツを紹介します。

仕事ができない人は「マルチタスク」をする。仕事ができる人は、どうしている?Photo: Adobe Stock

マルチタスクは、実際にはできない

そもそも、人間の脳は本当の意味で複数の仕事を同時に進めているわけではありません。資料を作りながらメールを確認しているように見えても、実際に起きているのは「資料作成→メール→資料作成」というシングルタスクの高速切り替えです。書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?』では、次のように説明しています。

「実際はただの『シングルタスクの高速切り替え』状態なのです」

つまり、「マルチタスクが得意になる」ことを目指しても仕方がありません。どれだけ器用に見えても、一つの仕事から別の仕事へ、頭のスイッチを高速で切り替えているだけなのです。

「忙しい」と「仕事が進んでいる」は違う

問題は、この切り替えが増えるほど、仕事をしている感覚も強くなることです。資料を10分作り、メールを返し、チャットに答え、また資料へ戻る。一日中これを繰り返していると、とても忙しく感じます。

しかし、メールを書いている間は資料作成が止まり、資料を作っている間は別の仕事が止まっています。さらに、資料へ戻るたびに「どこまでやったっけ」「次は何を書くんだっけ」と頭を戻す必要もあります。忙しく動き続けていることと、仕事が前に進んでいることは別なのです。

マルチタスクをしている人ほど、この「切り替えている時間」を仕事が進んでいる時間だと勘違いしやすくなります。

仕事ができる人は「集中」を連続させる

では、仕事ができる人はどうしているのでしょうか。答えはシンプルです。

一つの仕事に集中し、手を動かす時間をできるだけ長く連続させるのです。「この30分は資料だけ」「ここまではメールを開かない」と決め、シングルタスクの時間を守るのです。

さらに重要なのは、同じ仕事の中でも切り替えを減らすことです。「次はどうしよう」と考えては手を動かし、「これでいいかな」と判断してはまた手を動かす。この往復も、集中を途切れさせます。だから事前に計画を立て、実行するときには「あとはやるだけ状態」にしておく。考える時間と手を動かす時間を分けることで、シングルタスクに集中する時間を長くできるのです。

仕事を速くしたいなら「切り替えを減らせ」

「もっとマルチタスクができるようにならなければ」と悩む必要はありません。

そもそもマルチタスクは、シングルタスクを高速で切り替えているだけなのです。仕事を速く終わらせたいなら、切り替えを速くするのではなく、切り替えそのものを減らしてください。