鳩山由紀夫政権が順調に船出した。

 組閣の印象も「実務型」、「重厚」とおおむね良好であった。「サプライズがなかったのがよかった」という声もあった。

 直後の共同通信の世論調査では、内閣支持率は72.0%。これは、小泉、細川両内閣に次ぐ高支持率だ。新政権への国民の期待がいかに大きいかわかる。

岡田外相の就任は
「外し」か「温存」か

 さて、今回の組閣を通じて、民主党の“小沢支配”の構造はさらに強固になった印象を受ける。

 閣僚の顔ぶれを注視すると、組閣に対する2つの小沢戦略が透けて見えてくる。

 1つは、反小沢の動きを封じ込めること。仙石、前原両氏ら小沢氏と距離を置くリーダーを入閣させ、党に残る人たちと分断したこと。さらにこれから常任委員長人事でも同様の手法で対応するだろう。そうでなくとも、一枚岩ではない非小沢、反小沢グループは分解せざるを得なくなった。

 もう1つは、形式的には幹事長より格上になる代表代行、副代表を入閣させることによって、自動的に党の役職を離れさせた。1種の棚上げとも言える。

 こうして、良くも悪くも小沢体制が不動のものとなった。

 注目すべきは岡田克也前幹事長の外務大臣就任だ。

 報道によれば、岡田氏は幹事長留任を望んだらしい。党の要として自分が入閣しないことが望ましいと考えたのであろう。

 外相は、内政はもちろん政権運営全体から遠い位置にある。「こんな重大な局面にもかかわらず飛行機に乗っている」ということが多くなる。

 岡田氏は、無欲で愚直な正義漢だから、小沢幹事長にも平気で異議を申し立てる。現時点では、表向き唯一の非小沢派に見える。

 だから、今回の外相起用が、「岡田外し」と見られても仕方がない。

 だが、私は、この人事を「岡田温存」という面から評価している。