アンソロピックの本社。同社は2回の資金調達ラウンドで合計950億ドルを調達したPHOTO: MICHAELA VATCHEVA FOR WSJ
米カリフォルニア州は記録的な投資ブームの真っただ中にある。それをあおっているのは、シリコンバレーで起きている人工知能(AI)に対する熱狂だ。
データ会社ピッチブックによると、同州を拠点とする企業は今年になって、ベンチャーキャピタル(VC)から約3660億ドル(約58兆円)に上る資金を調達した。これは、米国の他の49州で投じられたVC資金総額の3倍以上に相当し、カリフォルニア州にとっても2025年に記録した過去最高の倍近い額だ。2位はニューヨーク州だが、年初からのVC投資額は270億ドルで、カリフォルニア州に大きく引き離されている。
カリフォルニア州では富裕税への資産課税が検討されており、ギャビン・ニューサム知事ら反対派はそれが投資家を遠ざける恐れがあると警告しているが、資金調達の動きは途切れていない。11月に実施される予定の一時的な富裕層向け課税を巡る住民投票の行方を富豪らが見守る中で、少なくとも現時点では、大手AI企業への投資熱が持続している。
AI分野への資金流入はサンフランシスコの住宅価格を急騰させ、一夜にして新たな富裕層を生み出した。そのブームはハイテク企業が軒を並べるベイエリア以外にも広がり、カリフォルニア州の所得税収が予想以上に拡大した結果、州政府の慢性的な財政赤字の緩和にも寄与している。
カリフォルニア州財政局は2026年6月30日終了の会計年度の個人所得税収について、25年5月時点では1260億ドルと予測していた。だが、実際には約1470億ドルに達した。AIへの熱狂が株式市場の急騰を招き、ハイテク企業の従業員の所得を押し上げたためだ。VCから資金を集めている新興のAI企業が将来的に新規株式公開(IPO)に踏み切れば、それによるキャピタルゲインがさらなる税収をもたらすことになる。
こうした追い風でカリフォルニア州の長期的な財政課題が解決したわけではないが、州のリーダーらに予期せぬ短期的な余裕をもたらした。同州はより多くの資金を準備金として積み立てることができ、一定の資金配分が義務付けられている教育向け支出も増やすことができた。この追加的な税収は、新たな裁判所建設からごみ対策まで、裁量的な項目への予算配分においても、同州にさらなる余地を与えている。
年金基金、大学基金、裕福な個人などの投資家に代わってベンチャーキャピタルが投じるこの資金は、力強い成長の可能性を秘めた若い企業やスタートアップ企業に流れ込んでいる。ベンチャーキャピタルの投資家は、投資先企業が買収されたり、株式を取得した時の価格よりも高い評価額で上場したりした場合に利益を得ることができ、まれには途方もなく高い価格で上場する場合もある。







