革張りの椅子に座るスーツ姿の男性写真はイメージです Photo:PIXTA

東京には、働く男性の3人に1人近くが「役員」という街がある。国勢調査を250m四方で見ると、番町、六本木、松濤など、役員が集中するエリアがくっきり浮かび上がる。さらに、湾岸のタワーマンションや東急沿線の高級住宅地、武蔵野台地の湧水(ゆうすい)池周辺にも役員の集積が見られる。なぜ経営層は似たような街に集まるのか。データをたどると、そこには土地の歴史と地形が生んだ「住み分け」の法則があった。※本稿は、データ可視化職人のにゃんこそば『データでわかる東京格差 数値の「可視化」で真実をあぶりだす』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

千代田区・港区に住む50代男性の
27.4%が役員を務めている

 会社や団体の役員は、経営判断や業務執行を行う責任あるポジション。会社規模などによってその影響力や報酬は異なりますが、ビジネスパーソンにとっては、キャリアの頂点に近いポジションといえるでしょう。

 では、そうした役員層は、どのような街を住み家として選ぶのでしょうか。国勢調査のデータを用いて、彼らが集まる街を可視化すると、東京という都市が持つ社会経済的な凹凸が見えてきます。

 はじめに、50~59歳の男性就業者に占める会社・団体役員の割合を見てみましょう(図1)。

 出典は総務省統計局「令和2年(2020年)国勢調査」です。今回使用した統計表には、都道府県、政令指定都市、人口50万人以上の都市と、東京23区の各区のデータが含まれています。年齢を50代に限定したのは、会社・団体役員が50代~60代に偏っているため、市区町村による年齢構成の違いが結果に与える影響を抑えることが目的です。

 全国では50代の働く男性の9%が役員です。中学・高校の40人クラスのうち3~4人が役員となる計算ですが、読者の想像と比べて多いでしょうか、少ないでしょうか。50代男性役員の内訳としては、建設業、卸売業・小売業、製造業の3つの業種で全体の56%を占めています(従業上の地位=「不詳」を分母から除く)。

 地域別の傾向としては、企業の本社・支社機能が集中する都市部ほど役員比率が高くなり、大阪市、京都市、名古屋市、福岡市などでは11%、そして東京23区では15%が役員です。23区の各区でも大きな差があり、千代田区(27.4%)、港区(27.4%)を筆頭に、渋谷区、目黒区、台東区、文京区、新宿区、世田谷区で6人に1人を超えています。

図1 役員の割合(50~59歳)同書より転載 拡大画像表示

 これらの区では単に役員が多いだけでなく、その内訳も異なります。建設業と製造業の割合が下がる一方で、「情報通信業」(IT、出版、放送など)、「学術研究、専門・技術サービス業」(コンサル、シンクタンク、広告代理店、法律・会計事務所など)といった都市型の産業で役員を務める人が多くなっています。

 ひと口に役員といっても、その性質は地域によって大きく異なるのです。