「知っている言葉=説明できる言葉」とは限りません。むしろ、言葉だけで説明しようとすると、かえって伝わりにくくなることがあります。「うどん」を外国人に説明する場面から、本当に言葉を理解するとはどういうことか考えてみましょう。本記事では、書籍『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』の中からビジネスパーソンにも役立つノウハウとして紹介する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「言葉を知っている」と「理解している」は違う
私たちは毎日、当たり前のように言葉を使っています。
しかし、その言葉を本当に理解しているでしょうか。
たとえば、イラストレーターは、クライアントから「言葉」で依頼を受け、それを「絵」に変える仕事です。
だからこそ、言葉の理解がそのまま仕事の質につながります。
そして、依頼内容は「言葉」で伝えられます。
だから、言葉をどれだけ理解できるかが、仕事の質を大きく変えるのです。
言葉を理解するときに大切なこと。
それは、「言葉をビジュアルで捉えること」です。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
ポイントは、言葉を別の言葉に置き換えるだけで終わらせないことです。
頭の中に「絵」が浮かぶところまで持っていくのです。
「うどん」を言葉だけで説明できますか?
わかりやすい例が「うどん」です。
日本人なら、ほとんどの人が知っています。
では、日本にはじめて来た外国人から「うどんってなんですか?」と聞かれたら、どう答えるでしょうか。
辞書を引く、検索する、人やAIに聞く。おそらくそうするでしょう。
じゃあ、日本にはじめて来た外国人から「うどんってなんですか?」と聞かれたら?
「ええっと、小麦を練って……、麺にのばして……、白くて……」
こんな説明では、伝わらない気がしませんか。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
「小麦粉を練って作った白い麺です」
説明としては、間違っていないでしょう。
でも、それを聞いた外国人の頭の中に、私たちが思い浮かべている「うどん」と同じものが浮かんでいるでしょうか。
「白い麺」と聞いて、まったく別の食べ物を思い浮かべる可能性もあります。
言葉をいくら重ねても、同じものを思い浮かべている保証はないのです。
一瞬で伝える方法がある
では、どうするか。答えは、とても簡単です。
スマホを開いて検索した画面を見せ、「これが、うどん、です」と言う。
そうやって、ビジュアルでパッと見せたほうがよく伝わるのです。
ということは、自分で言葉を理解するときも同じことが言えるはずです。
その言葉を聞いて、頭の中に何もイメージが浮かばない。
こんなとき、私たちはその言葉をほとんどわかっていないということなのです。
「うどん」という言葉を聞いて、「うどん」のイメージが頭に浮かぶ。
この状態になってはじめて「その言葉を理解する手がかりをつかんだ」と言えるということです。
――『言語化だけじゃ伝わんない』より
「これです」と写真を見せる。
それだけです。長々と説明するより、圧倒的に早い。
そして、ここから重要なことがわかります。
他人に説明するときにビジュアルが必要なら、自分が理解するときにもビジュアルが必要なのではないか、ということです。
頭に「絵」が浮かばない言葉を疑ってみる
たとえば、「付加価値」「成長」「リスク」「多様性」。
私たちは、こうした言葉を日常的に使っています。
では、それぞれについて、「具体的にどんな場面?」と聞かれたとき、頭の中に何が浮かぶでしょうか。
何も浮かばないのに、その言葉についてペラペラ話せてしまうことがあります。
そこが言葉の怖いところです。
言葉を知っているだけで、「わかった」という気分になれてしまう。
だからこそ、知らない言葉に出会ったときは、定義を覚えるだけで終わらせない。
「それって、実際にはどんなもの?」と考えてみる。
「うどん」が目の前に出された瞬間、「ああ、これがうどんか」と理解が進むように、言葉と現実をつなげていく。
頭の中に何も浮かばない言葉は、まだ「わかったつもり」の段階かもしれません。
言葉を理解したければ、まず頭の中に絵を描く。
それが、「知っている」を「わかっている」に変える最初の一歩なのです。
1981年静岡県生まれ。制作会社にて、雑誌タイアップ広告の制作進行を務めたのち、フリーランスのライターを経験。国際情勢関連の英日翻訳をやりながら、2011年からイラストレーターの活動をスタート。現在は書籍・雑誌・広告など幅広く活動中。特に、ビジネス書や新書での挿絵や図解を担当することが多く、10年以上、活躍している。
これまで、装画・イラストを担当した書籍は200冊以上。『言語化だけじゃ伝わんない ―― 絵を描くように「考える・伝える」技術』(ダイヤモンド社)が初の単著となる。




