写真:自動改札機,ICカード,鉄道写真はイメージです Photo:PIXTA

JR東日本は9月8日、次世代Suicaの取り組み「Suica Renaissance」の第5弾として、2030年代初めに同社の全駅でSuicaを利用できるようにすると発表した。これによって変わるのは、Suicaの使い勝手だけではない。エリア統合は、長距離きっぷや「途中下車」など、これまで当たり前だった鉄道の営業制度にも影響を及ぼす可能性がある。次世代Suicaは「きっぷ」の常識をどう変えるのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

Suicaの「エリアの壁」が消える?
JR東日本が全駅化を急ぐワケ

 JR東日本が2001年11月に首都圏でサービスを開始したIC乗車券Suicaは、2003年に仙台エリア、2006年に新潟エリアに展開し、2023年には青森・秋田・盛岡の3エリアでもサービスを開始した。新幹線でも2018年3月から、Suica残高で自由席を利用できる「タッチでGo!新幹線」が全線に導入された。

 しかし、現行のSuicaは、それぞれのエリア内で完結する利用にしか対応していない。そのため、Suicaで上野駅に入場し、在来線で仙台駅に移動してSuicaで出場するような、エリアをまたいだ利用はできない。

 これは従来のSuicaが、ICカードと自動改札機を中心に成立していたことに起因する。乗車駅の自動改札機でカードに記録を書き込み、下車駅の自動改札機は格納した運賃テーブルと乗車駅を照らし合わせ、運賃をカードのチャージ残高から引き去る仕組みだ。

 エリア統合(拡大)を拒んでいたのは、利用可能駅の組み合わせ増大に対し、自動改札機の処理能力、記憶容量が追い付かないハード上の制約だった。そこでJR東日本は2023年5月以降、センターサーバーで処理を行う新システムへの更新を進めており、2026年度末に全6エリアの更新が完了する。

エリア統合後の利用例エリア統合後の利用例(JR東日本プレスリリースより) 拡大画像表示