共感の仕方によって、孤独は
広がりも和らぎもする

 こうした孤独感の伝染には、いわゆる「共感性」が関与しています。

 共感性とは、他者の感情や考えを自分のことのように察し、寄り添う能力のことで、これには「情動的共感」と「認知的共感」があります。

「情動的共感」は相手と同じ気持ちになること、喜びや痛み、恐怖を自分のことのように感じることです。脳の関連部位としては前部島皮質・前帯状回・下前頭回・扁桃体などが挙げられます。

「認知的共感」では、自分と相手の視点をきちんと分けたうえで、相手の視点や思考に立ったうえで共感するものです。相手の感情に飲み込まれず、「相手がなぜそう考えているのか」といった意図や背景を客観的に推測して、安心させたり慰めたりする立場になります。脳の関連部位としては内側前頭前野・腹内側前頭前野・側頭頭頂接合部などが挙げられます。

『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』書影孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』(虫明 元、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 共感性にはもうひとつ、「コンパッション」と呼ばれるものがあります。この共感性は相手の苦しみを認知的共感しつつ、その対応を考え、実際に行動するような積極的な共感性です。

 この3つの共感性の中でも、孤独感の伝染には、「情動的共感性」、脳の部位では特に前帯状回が関わっていると考えられます。自分と相手を同一化してしまう共感性ゆえに、孤独感を共有してしまうのです。

 一方で、相手と自分の視点を分けて考えることができる「認知的共感性」と「コンパッション」には、孤独感を解消する可能性があると考えられます。

 孤独は寿命を縮めるさまざまな心的・身体的な疾患と関連しています。それゆえ、孤独な個人が社会的な集団から外に追いやられる前に、周囲の人々がその人の孤独に気づき、社会的集団につながる手助けをすることが大切なのです。