2019年に大腸がんを患いながら、わずか半年で実戦復帰し、5年後には医師から「完治」と告げられた元阪神タイガースの原口文仁氏。しかし、完全復活を果たしたように見えても、手術前には想像もしなかった日常の不安は残った。特に、手術後に増えたトイレの回数は、遠征や旅行、さらにはフルマラソンへの挑戦でも気がかりだったという。大腸がんを経験したからこそ語れる、術後の日常と新たな使命とは。※本稿は、元プロ野球選手の原口文仁『道なき道を』(集英社)の一部を抜粋・編集したものです。
完治までの5年間で痛感した
体調不良を見逃す怖さ
元阪神・原口文仁氏 撮影/岡田佳那子
2024年1月。
「完治です」という医師からの言葉を聞いて、心から安堵した。
大腸がん完治までの5年を乗り越えるのは、大きな目標だった。まだ、1年に1回の検査は続いていくが、なんとか5年をクリアした自分を褒めてあげたいし、本当によく耐えたと思う。手術直後は完治まで5年という道のりがとても長く感じられたが、過ぎてみると、あっという間だった気もする。
今だから明るく話せるが、実は、病気を公表する日と、新しく買い替えた車の納車日が重なってしまった。これも何かの縁かもしれないと思い、その車の購入代金を5年ローンでの支払いにした。ローンの完済と、病気の完治という2つの目標を作って、それまでは元気でいようと自分に言い聞かせていた。病気のことばかり考えてしまうと気持ちが重くなりがちな中で、ローンの完済という目標はいい励みになった。
例えば自分が体調不良を自覚し始めたとき、すぐに病院に行くという選択肢があっただろうかと考えてみたこともある。ただ、あのときの僕は、病気になるなんて思ってもいない。







